前回の記事で、新生得主義について簡単に紹介致しました。今回の記事は、もう少し詳細に新生得主義の研究内容や発達に対するアプローチなどを紹介していきたいと思います。
新生得主義者は、ピアジェ派が子供の発達プロセスを明らかにするために用いていたタスクをより簡素化し、調査プロセスの中に、子供たちが与えられたタスクに取り組む際の支援もおこなっていました。
その結果として、新生得主義の研究者は、ピアジェが提唱していた発達の年齢基準を打ち壊す研究成果を示しました。こうした研究成果から引き合いに出された彼らの主張は、ある概念やスキルはピアジェが提唱するよりもずっと低い年齢で獲得することができるのだから、人間の認知構造は内在的なものであるに違いないというものです。
しかし、この主張は、可変性が持つ部分的な要素しか焦点に当てていません。つまり、新生得主義の主張は、ある概念やスキルが獲得される年齢基準を下げただけであって、実際には文脈や環境に影響を受けて、ある概念やスキルが獲得される年齢基準が上がる場合を無視してしまっています。
結論として、新生得主義に基づく研究者は、発達の可変性を明らかにしたというよりも、単にピアジェが提唱していた年齢基準を引き下げることに成功しただけであって、発達が持つ動的な特徴を明らかにすることはできなかったのです。
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