スキル理論を用いて言語の発達を研究しているアーンスト・モエークは、言語習得における母親の重要性を強調しています。モエークは、言語発達の基盤は、幼少期における両親とのコミュニケーション、特に母親とのコミュニケーションを通じて構築されると指摘しています。
モエークは、言語獲得プロセスをある種のスキル習得過程とみなし、カート・フィッシャーと同様に、スキルの発達は階層構造を持つということを述べています。つまり、言語は他のスキルと同様に、聞くことや話すことといった実際の行動を繰り返すことによって、徐々に複雑なスキルとなって発達していきます。
言語獲得プロセスにおいて、モエークは、両親(特に母親)が作り出す環境が、言語をスキルとして教える理想的な場として機能すると提唱しています。具体的には、下記の4つのプロセスを経て、子供は母親から強い影響を受けながら言語スキルを発達させていきます。
1:子供の言語感覚を刺激する物語を読み聞かせたり、子供に対して対話をおこなうこと。
2:プロセス1で提供される物語や対話の質に応じて、子供の語彙力が増え、発話量も増していく。
3:子供の発話を受けて、母親がフィードバックを子供にし、正しい語彙を提供したり、正しい発話をおこなえるように支援をおこなうこと。
4:3のプロセスに対する子供の反応に基づいて、教え方を修正していくこと。
モエークは上記の4つのプロセスを提示し、子供の言語発達、特に語彙の発達に関して、両親からどれだけ多彩な言葉を教えてもらっているか、両親からのフィードバックの質、そして言葉を使用する実際のトレーニング量の重要性を強調しています。 質問・コメント・記事の共有をご自由にしていただければ幸いです。