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33. 発達の可変性を提唱する非英語圏の発達論者たち


これまでの記事で紹介してきたように、英語圏において、カート・フィッシャーやロビー・ケースなどが「新ピアジェ派」の代表格であり、彼らは発達の可変性を強調しています。実際のところ、フィッシャーやケースのような英語圏の発達論者のみならず、非英語圏の発達論者の中にも、発達の可変性を提唱する研究たちが何人も存在しています。

発達理論に関する文献調査をおこなっていると、例えば、フランスやスイスの発達論者の中にも、発達が持つ可変性や多様な発達プロセスに焦点を当てている研究者が存在することがわかりました。フランスにおいては、ミナ・バーバやファヒータ・ウィニーカーメン、スイスにおいては、ピエール・デーセンなどが代表的な研究者です。

これらの研究者たちは、発達が持つ可変性に焦点を当てた研究をおこなっており、さらに感情的な発達と認知的な発達の関係性についても探求しています。カート・フィッシャーのスキル理論においても、感情と認知は切り離すことができないものとみなされています。私たちの感情は、何かしらの行動を常に伴い、それらの行動は文化的な規範や私たち個人の歴史と適合する形で生み出されるとフィッシャーは述べています。

歴史的に見て、フランスの発達論者たちは長らく、文脈や他者からの支援によって変動する心の構造よりも、文脈や他者との相互作用と個人を切り離して、心の構造を探求する傾向にありました。

また、認知的発達と切り離すことができない社会的・感情的な発達においても、それらはジャック・ラカンを始めとした精神分析学派の影響下、両者の関係性が発達理論の枠組みにおいて研究されることはそれほどありませんでした。

しかし、ここ数十年において、ようやくフランスにおいても、他者からの支援や文脈に応じて変動する心の特性の研究や社会的・感情的発達と認知的発達の関係性について研究が進んでいることが伺えます。

英語圏の発達論者のみならず、非英語圏の発達論者の研究に着目すると、人間の発達に関する新たな発見事項と出会うことができるかもしれませんし、違う角度から発達を捉える契機になると思います。 質問・コメント・記事の共有をご自由にしていただければ幸いです。

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