以前の記事で、私たちのスキルは、具体的な文脈に根ざして発揮され、文脈と密接に関連した活動に従事することによって発達していくということを述べました。
このように、私たちのスキルはある特定の文脈に応じて発揮されるものなのですが、そうした特徴に加えて、私たちは特定のスキルをある文脈と関連する他の文脈においても発揮することができるように、スキルを一般化するという興味深い能力を内在的に持っています。
スキルというのは文脈特定的である以上、全ての文脈に相通じる普遍的なスキルというのは基本的に存在しません。しかしながら、私たちのスキルは非常に動的であり、ある具体的な文脈で発達させたスキルは、他の関連する文脈においても発揮されます。こうした現象のことを「スキルの一般化」と言います。
実は一つ一つのスキルの発達過程を眺めていると、スキルの発達とその一般化の過程は共通しています。私たちのスキルは、以前の段階の要素を差異化し、そこに新たな要素を組み合わせることによって発達していきます。
このように、既存のスキルの構成要素と新たに生まれてくる要素を統合するプロセスは、さらに高度なスキルを構築する一般化現象と呼ぶことができます。
注意しなければならないのは、生得論者が説くように、こうした一般化のプロセスは、あらかじめ定められているものではありません。つまり、私たちのスキルの発達過程は、生得的に決定されているものではなく、社会的な文脈に関与し、その中で具体的な実践活動に励むことによって生じるプロセスなのです。スキルの非生得性と多様な発達プロセスについては「構成的な網の目構造」の記事を参照していただけば幸いです。
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