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13. 動的スキルの必須条件:統合と相互関与について


先日の記事で、ダイナミックスキル理論の核となる概念「動的スキル」について簡単に説明しました。今回は、補足事項として、動的スキルが持つ二つの重要な条件「統合」と「相互関与」について説明したいと思います。

私たちが特定の文脈で発揮するスキルは、物質が原子や分子によって決まりきった形で構成されているのとは異なり、他のスキルと「統合」される形で構成されています。

例えば、サッカーをする際には他の多くのスキルが要求されます。走ったり、ボールを蹴ったり、視野を拡大したり狭めたり、戦術やフォーメーションを理解したりするなど、様々なスキルが組み合わされることによって、サッカーという文脈の中でスキルが発揮されます。

このように統合化されたスキルは、単に相互依存関係にあるのではありません。多様なスキルが相互依存関係にあるだけではなく、それらが相互に関与し合うことが重要になります。真に統合化されたスキルというのは、各スキルがばらばらに発揮されるのではなく、お互いの機能に影響を与える形で発揮されます。このことを動的なスキルが持つ「相互関与」と呼びます。

ひとたび建物が建設されれば、その建物を構成する物質は相互に依存し合っているかもしれませんが、相互に影響を与え合うことはしません。また、コンピューターも様々なシステムを内包しており、それらが相互に依存し合っているかもしれませんが、それらが他のシステムの機能に相互関与することはありません。

それに対して、リビングシステムの構成要素は、他の要素に依存しているだけではなく、相互に影響を与え合っています。この考え方を示唆する事例は豊富にあり、人間の細胞組織や臓器のシステムが一例です。人間の身体が持つシステムというのは、多様なサブシステムによって構成されています。

例えば、心臓血管系は他の器官系の機能に影響を与えています。なぜなら、全ての器官は、心臓から送り出される血液を受け取ることによって機能しているからです。それと同時に、心臓血管系は、神経系や筋肉組織などの他のシステムからの影響を受けています。

上記の例が暗に示すように、リビングシステムは、相互関与している他のシステムと切り離されてしまうと、そのシステム自体が機能しなくなってしまいます。そのため、ダイナミックスキル理論では、心という複雑なシステムが適切に機能する条件として、そのような相互関与という働きを無視することはありません。

今回の記事の要約として、私たちの活動を支えるシステムは、非常に複雑なシステムと相互に依存・影響し合っているということを再度強調したいと思います。そして活動は複数のスキルを包含し、それらのスキルは他のスキルと相互に関与し合っています。

カート・フィッシャーのダイナミックスキル理論を支える「スキル」という概念は、スキルが持つ「統合」という要素と「相互関与」という要素によって、動的な側面が強調されているのです。

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