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11218-11225: ボストンからの便り 2023年11月2日(木)



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タイトル一覧

11218. 【ボストン滞在記】今朝方の夢

11219. 【ボストン滞在記】今日の観光予定

11220. 【ボストン滞在記】旅の刺激を感じながら/HDSの言語要件と奨学金制度について

11221. 【ボストン滞在記】ダイアン·モアー教授による模擬講義を受けながら

11222. 【ボストン滞在記】ライティングサンプルの改訂に向けて

11223. 【ボストン滞在記】サイケデリック美学/信仰開示とサイケデリクス

11224. 【ボストン滞在記】ハーバード 美術館と書店を訪れて

11225. 【ボストン滞在記】サイケデリクスを扱ったハーバード神学大学院の会報誌と出会って/大いなる確認の定着


11218. 【ボストン滞在記】今朝方の夢


時刻は午前5時半を迎えた。昨日も午後9時には就寝していたこともあって、睡眠時間は十分に取れた。ただボストン滞在5日目にもかかわらず、まだ時差ぼけの影響があるのか、途中で目覚めることが何度かあった。昨日は微熱感があったが、今はそれはもう治り、頭は比較的すっきりしている。しかしまだ鼻水が出るような状態なので、今日は無理のない範囲で観光を楽しもうと思う。


昨日のHDSのオープンキャンパスイベントはとても充実していて、その充実感が微熱感を生んでいたのかもしれない。昨日も感じたことだが、自分は学びに対して常にオープンかつ貪欲のようで、それはもう幾つになっても変わらないのではないかと思った。自分もある程度の年齢を迎えたが、昨日のオープンキャンパスイベントには自分よりも年上の人たちが多数いたことは嬉しかった。もちろん年下の人たちからも多くの啓発を受けるだろうが、HDSに行けば年長者とのやり取りを通じてまた新たな刺激と啓発が受けられると思ったのである。


昨日のイベントについてはもう少し振り返りをしておきたいとことがあるので、また改めて日記を執筆したい。その前にまずは今朝方の夢について振り返っておこう。今朝方の夢の中でもやはり自分はサイケデリクスの研究をしていた。読書会のようなグループのリーダーを務めていて、おそらく場所はHDSの部屋だったように思う。合計で15人ぐらいのグループで、お互いがお互いのことをすでに知った間柄だったので、勉強会はとりわけ深い対話を通じて進行していた。私はHDSの学生のみならず、HDSのOB·OG、さらには他の学科からの参加者を相手に英語で読書会をうまくファシリテーションしていた。これまで日本語でならこうしたファシリテーションはまさにオンラインゼミナールを通じて行っていたが、英語では初めてのことで、またその場に参加している人たちが全員ハーバードの関係者ということもあって、彼らの意見をうまく汲み取り、議論を一段深めていくためのファシリテーションはやりがいがあった。この体験から、やはり自分の最大の関心事項であるサイケデリクスに関する事柄であれば、ハーバードのネイティブスピーカーを相手にしても全く問題なくファシリテーションができると思ったのである。ここから、自分の欧米生活12年間の学習と実践の蓄積を見た。毎日の小さな学習と実践が、今こうして読書会を有意義な形でファシリテーションできる自分がいることを心底嬉しく思った。今朝方はそのような夢を見ていた。実際のところはその他にも断片的な夢をいくつか見ていたが、夜に目を覚ますたびにそれらの夢は記憶の彼方に消えていった。いずれにせよ、上記の夢は正夢になって欲しいと思うような内容だった。実際にHDSにあるサイケデリクスに関する読書会には20人ぐらいの参加者がいるらしく、学内だけではなく、引退した教授を含め、学外からも参加者がいるそうだ。それはさぞかし刺激的な読書会だろうと推察される。今回は旅の日程と読書会の開催日が合わなかったので残念だったが、HDSに進学したらポールのあとを引き継ぐ形で自分がこの読書会のリーダーになることに意欲的である。それを目標に、ここからより一層英語でのファシリテーション能力を鍛えていくこととサイケデリクスについて広く深い圧倒的な知識を獲得していきたいと思う。ボストン:2023/11/2(木)05:47


11219. 【ボストン滞在記】今日の観光予定


ボストン滞在5日目は完全にフリーで、今日はハーバード大学の敷地内にある美術館や博物館をいくつか巡ってこようと思う。そして一昨日に訪れた“Seven Stars”という書店にまた立ち寄って、文献購入リストに記載のあった未購入の書籍を数冊ほど購入してきたいと思う。この書店は本当にサイケデリクスの書籍が充実しているし、その他にも宗教関係の充実さも目を見張るものがある。さらにはスピリチャル系やオカルト系の書籍も充実している。


今日はまず、ハーバード神学大学院の敷地内にある植物図書館に行ってこようと思う。ここは博物館と言うよりも図書館に近く、そこでアーカイブ資料を閲覧してきたいと思う。以前の日記で書き留めたように、ここには民族菌学者のゴードン·ワッソンや民族植物学者のリチャード·エヴァンズ·シュルテスが寄贈した資料がある。彼らはサイケデリクス研究に対する大いなる立役者であり、彼らの功績に敬意を評しながら資料を閲覧してこよう。ホテルを出発するのは午前10時頃とし、ハーバードの関係者しかこの図書館に入れなかったら次にハーバード美術館に足を運ぼうと思う。そこからも考古学博物館などにも足を運びたいと当初は思っていたが、今改めてそれらの博物館のウェブサイトを見ると、あまり気乗りしない自分がいた。それは体調が万全ではないということもあり、今日の観光を早めに切り上げるのが賢明だという思いと、やはりサイケデリクスに関する勉強がしたいという強い思いが影響しているように思う。それらの博物館は晴れて大学関係者になった時に訪れれば良いかと思う。楽しみを先延ばしにする形で、ハーバード美術館に訪れた後は速やかに書店に行って必要な書籍を購入してこようと思う。書店に足を運んだら、昨日の夕食にテイクアウトしたヴィーガン食専門店の料理がとても美味しかったので、今日もまたそこで昨日とは違うものを注文してみたいと思う。


微熱があった昨日は、身体の筋肉に痛みが生じていた。数日前の月曜日にジムで筋力トレーニングをしたのだが、そこから筋回復がやはり体調不良のせいで遅れているようだった。今日もまだ上腕三頭筋にかなりの筋肉痛がある。その他の部位についてはもう筋肉痛はないようだが、体調の様子を見て、本日木曜日の筋力トレーニングは見送ることになるかもしれない。オランダに戻るのが日曜日で、その翌日にはパーソナルトレーニングがあるので、今日筋力トレーニングをして体調の回復に充てるエネルギーが奪われてしまっては元も子もないので、今日もできるだけ体調の回復に努めたいと思う。ボストン:2023/11/2(木)06:14


11220. 【ボストン滞在記】旅の刺激を感じながら/HDSの言語要件と奨学金制度について


時刻は午前7時半を迎えた。今のボストンの気温は2度と非常に低く、この気温で外に出かけると凍てつく寒さを感じるだろうと思う。HDSの植物図書館に向けて出発する午前10時頃も依然として2度の様子なので、できるだけ暖かい格好をして外に出かけたいと思う。バス停であまり待たないようにするためにバスがやって来る直前にホテルを出発したい。


これまでの8年間のオランダでの生活において、フローニンゲン大学の学期の期間中は旅行に出かけることが難しかったが、学期の間の休みには必ずどこかに旅行に出かけていて、フローニンゲン大学を離れて以降は毎月か2ヶ月に1度欧州内を旅行していた。ところが、サイケデリクス研究の目覚めを受けて、旅行に行く時間が惜しく、旅行よりも毎日のサイケデリクス研究の方が自分に刺激と喜びをもたらしてくれることもあって、この4ヶ月はどこにも旅行に出かけていなかった。前回旅行に出かけたのは確か6月終わりから7月初旬にかけてのプラハ·ミュンヘン旅行が最後かと思う。およそ4ヶ月ぶりにこうしてボストンに旅行でやって来てみると、やはり旅の刺激があって日々の日記の執筆量が自然と増えているように思う。いや、サイケデリクス研究を始めてからというもの、そもそも日記の量が増大していたようにも思えるが、いずれにせよ今回のボストン滞在が自分の存在の奥深くに養分と刺激を与えてくれたのは確かである。


今日の観光に向けて出発するまでまだ時間があるので、コーヒーを片手にここからゆっくりと昨日のオープンキャンパスイベントの振り返りの続きを行いたい。HDSに入学したら、サマーコースや学期期間中のコースとして、宗教的な古典を読むための外国語のコースがある。それは外国語を話せるようになることを目的にしているのでは決してなく、あくまでも宗教研究のための文献調査を行うための読解力を向上させるコースだ。正確な数は忘れたが、宗教研究をするにあたってのおよそ考えられる全ての言語をハーバード大学の言語センターが提供しているとのことであった。今年自分が出願する2年間のMTS(Master of Theological Studies)プログラムにおいては1つ何かしらの言語のコースを履修することが卒業要件に求められている。自分が行いたいサイケデリクス·スピリチャリティの研究において今のところサンスクリット語や難解な他の言語は必要とせず、強いてあげるならば日本語で書かれた神道の研究書を活用しようと思っているので、日本語で言語の要件を満たしたいと思う。自分は日本語のネイティブスピーカーなので、おそらく申請手続きをするだけか、何かしらの簡単な試験を受けるだけで言語要件を満たせるのではないかと思う。サイケデリクスが引き起こす意識状態に関して仏教の観点から探究していく際に、英語以外の文献を読む必要性が出たらその時にその言語の鍛錬をしたいと思う。今のところ英語以外の文献を活用する予定はないので、言語のコースを履修することに時間を充てるよりも、とにかくサイケデリクスの研究を進めていきたいというのが今の自分の考えだ。


その他には、HDSの返済不要の貸与型の奨学金制度は充実しており、億万長者以外であれば、大半の生徒が学費が75%免除になるか、100%免除になるか、はたまた優秀な学生には100%学費免除に加えて、年間180万円から300万円(現在の円ドルレートによる換算)ほどの生活費が支給されるようである。現在未曾有の円安の状況にあるので、こうした返済不要の貸与型奨学金精度が従事しているのは有り難い。授業が75%免除になるだけでも随分大きなことかと思う。 ボストン:2023/11/2(木)07:50


11221. 【ボストン滞在記】ダイアン·モアー教授による模擬講義を受けながら


昨日のHDSのオープンキャンパスイベントの午前中に、ダイアン·モアー教授による模擬講義を受ける機会に恵まれた。モアー教授がレクチャーをしてくれたのは3つのタイプの暴力に関するものであり、それがどれだけ宗教によって影響を受けているかを解説するものであった。ここでそれぞれの暴力については詳しく取り上げないが、列挙しておくと、直接的暴力、構造的暴力、文化的暴力の3つである。それらはどれも暗黙的に宗教によって影響を受けている。そこから考えていたのは、現在のサイケデリック·ルネサンスの中でのサイケデリクスに関するディスコースの中に、とりわけどのような文化的暴力があり、それがどのように宗教によって影響を受けているのかを考察していきたいと思った。世界の人々のサイケデリクス·リテラシーを向上させていくためには、健全なディスコースをサイケデリクスに対して行う必要があり、仮に現在のディスコースの中に病理的なものがあればそれを特定し、治癒·変容させていく必要がある。これは自分が志す公共的な取り組みと合致するものである。その取り組みを推進していくためには、学術機関、政府機関、メディアの三者の連携が不可欠である。逆に言えば、それら三者が世界のあらゆる分野のディスコースを規定しているとも言える。


自分が現在のサイケデリクスに関するディスコースを見ていて問題意識を持っているのは、宗教的な複雑性に対する理解が欠けているところである。日本においてはサイケデリクスに関するディスコースなど無いに等しいが、欧米諸国のディスコースにおいても、ディスコースの背後にある宗教的な複雑性を理解している人は少ないのではないかと思う。 可能であれば比較宗教学的に様々な宗教を横断しながらサイケデリクスを取り巻く宗教的なディスコースを解明していきたいところであるが、今のところは仏教と神道を起点にしてその試みをしたいと思う。また少し違う観点で言えば、世界の諸宗教がサイケデリクスに関するディスコースをどのように深めることができるのかについても探究をしていきたい。モアー教授が述べていたように、宗教の複雑性を理解するにあたっては教育が鍵を握る。自分のこれからの取り組みの柱はそこに貢献するものであって欲しいと思う。どのような形で教育に携わっていくのかはまだ具体的な姿は見えないが、いずれにせよサイケデリクスを起点に据えたサイケデリクス教育と宗教教育の双方に何かしらの形で関与していきたいと思う。ボストン:2023/11/2(木)08:04


11222. 【ボストン滞在記】ライティングサンプルの改訂に向けて


時刻は午前9時半を迎えた。今の気温は依然として2度とかなり低いので、午前10時過ぎにホテルを出発するのをやめて、昼前ぐらいに出発して観光を楽しもうと思った。それまでは引き続き日記の執筆を通じて思考の整理と深化を行いたい。


今回HDSのMTSプログラムに出願するにあたって、さらに細かな専門領域は「宗教と社会科学」にしようと思っている。仏教研究に絞ると履修コースが限定されてしまうし、他の専門領域で提供されているコースはさほど関心を惹かず、専門領域で履修しなければならない6つのコースを鑑みた時に、一番興味深いコースを提供していたのが上記の専門領域だ。この専門領域での学習を通じて、これまで自分が携わって来た発達心理学という社会科学の専門知識を活かしながら、さらに他の社会科学に越境する形で宗教に対する理解を深めていく。それを通じて「サイケデリック·スピリチャリティ」の探究をしていく。


MDivの3年目に在籍するポールが丁寧に自分のライティングサンプルを添削してくれ、HDSの共有スペースで1時間弱話をする中で、彼は自分の研究関してはまずは宗教的な側面に絞った方が良いのではないかと助言してくれた。そのライティングサンプルの中では、最初に発達心理学者かつ神学者のジェイムズ·ファウラーの信念の発達モデルを取り上げ、その次に宗教とサイケデリクスをつなぐ話をしていった。昨日から今日にかけて、そして先ほどの仮眠中にぼんやりと考えていた考えが1つまとまりを見せた。やはりポールの言うように、HDSという宗教学を専門に学ぶ大学院に提出するライティングサンプルにおける研究案として、宗教学の側面を強調した方が賢明かと思った。具体的には、神道と仏教の意識の状態モデルの観点からサイケデリクス体験を紐解く研究をしていくことを明確に打ち出していこうと思ったのである。神道に関しては意識の状態モデルというよりも魂の発達モデルと呼んだ方が良いかもしれない。その時に、やはり神秘主義的神道家の川面凡児の神道神秘主義思想を活用することに言及したいと思った。現在HDSを離れている神道研究の泰斗であるヘレン·ハイデカー教授が来年にまたHDSに戻ってくるようなので、ハイデカー教授の指導の下に神道の観点からのサイケデリクス研究を進めたい。そして仏教に関しては言わずもがな、精緻な意識の発達モデルがある。それを段階モデルとして活用するよりも、意識の状態モデルとしてサイケデリクス体験に適用し、仏教用語でサイケデリクス 体験を紐解いていく研究に従事したい。これを通じて、現在のユダヤ·キリスト教的な欧米社会におけるサイケデリクス·ルネサンスの運動を神道·仏教の世界にも拡張させることを目指した研究にしたいと思う。発達心理学の柱はあえて明示せず、心の中で温めておく形で、機会を見つけて発達心理学の段階モデル·意識の状態モデルを活用したサイケデリクス研究に従事したい。まずはHDSでは神道と仏教の観点からサイケデリクス体験を紐解くことに専念し、そこからヒンドゥー教やユダヤ教などの神秘主義思想を採用したり、発達心理学の観点からサイケデリクス体験についての研究をしたい。これは兎にも角にもサイケデリクスと宗教に架け橋をかける試みであり、特定の宗教に親しみのある人がサイケデリクス体験をより豊かに紐解けるような見取り図を提供したいという思いから行われる研究である。ボストン:2023/11/2(木)09:53

11223. 【ボストン滞在記】サイケデリック美学/信仰開示とサイケデリクス


この日記を執筆したら、バスの時間を再度確認して今日の観光に出かけようと思う。微熱感が若干残っているが、昨日ほどではない。しかし鼻水がやはり継続して出てくるような状況なので、今日の観光は無理をせずに早めに切り上げたいと思う。とにかく疲労を溜めないようにしたい。


先ほど、“psychedelic aesthetics”という言葉が降って来た。日本語に訳せば「サイケデリック美学」とでも言えるだろうか。この分野の確立と将来コースを受け持てるようにしたいという思いがやって来て、兼ねてから密やかに進めていた美学の探究とサイケデリクスに架け橋が通ったかのような感覚が生じて嬉しく思った。ここからは自分はサイケデリクス研究の専門家として、様々な学問領域の観点からサイケデリクス体験を紐解いていく研究に従事する。研究活動だけではなく、教育活動として、欧米の大学でサイケデリクスに関する講義を受け持ちたいと思う。昨日のHDSでのクラスの聴講を通じて、もう自分が欧米の大学で教鞭をとれるところにまで英語力が高まっていることを実感した。もちろん英語は母国語ではないので、今後一生完璧に話したり書いたりすることは難しいだろうが、継続して英語力を高めていく努力をしたい。それはいつかやってくるであろう欧米の大学機関でのサイケデリクスに関する講義を受け持つことに必ずつながってくるはずだ。すでに自分なりのコースシラバスを作るところにまでアイデアが膨らんでいる。その足場かけとして、ぜひHDSのサイケデリクスの読書会でのリーダーの役割を担いたいと思う。そこでの読書会が継続して行われ、晴れて世界の宗教研究センターのセンター長に認められれば、学部生や大学院生にサイケデリクスを教える講師として雇ってもらえるかもしれない。これまで自分は大きな組織に所属することを嫌っていたが、サイケデリクス研究に関することであればマネジメント業務もさほど厭わずできるのではないかと思う。 少なくとも、多様な学生たちとサイケデリクスに関して侃々諤々の意見を交わすことを心より望んでいる自分がいる。


研究者としても実務家としてもサイケデリクスのプロフェッショナルになろうという明確な意思。プロフェッショナルという言葉は元々、「信仰を告白する」という意味の“profess”が語源にある。サイケデリクスは自らの信仰が何であるかを開示させる働きもあり、“mind-manifesting”の力のみならず、“profession-manifesting”の力もあるように思う。信仰の確認と信仰への目覚めとしてのサイケデリクス。こうしたある種宗教的な観点でサイケデリクスの別の側面を紐解けたのは、やはりHDSという世界に名だたる宗教研究の学術機関に足を運んだからである。


それにしてもサイケデリクスは毎日自分に新たな顔を見せてくれる。昨日聴講させていただいたユダヤ教神秘主義の観点で言えば、サイケデリクスもまた絶対者であり、人間がその全てを把握することはできない。人間の知性ではアクセス不能な側面がサイケデリクスという絶対者には最終的に存在するのである。日々自分がサイケデリクスを通じて明らかにしているのは、サイケデリクスという絶対者が持つ一側面であり、様々な観点と角度からそれらを1つずつ明らかにしていくという終わりなき試みに自分という絶対者かつ相対者は従事する。サイケデリクス研究が兎にも角にも面白いのは、サイケデリクスが人間の奥深くの世界と内外宇宙の深淵を扱うからなのだろう。それは汲み尽くすことのできない無限の探究の海ないしは無限の探究宇宙である。 ボストン:2023/11/2(木)10:21


11224. 【ボストン滞在記】ハーバード 美術館と書店を訪れて


時刻は午後3時を迎えた。今日も結局体がだるく、鼻水が止まらない状況だったので観光を早めに切り上げ、午前と午後の2回に分けて仮眠を取り、身体をゆっくり休めた。今夜もまた早く寝て、明日は夕食を購入しに行く以外にはどこにも出かけないようにしたい。


午前10時半を過ぎた時間にホテルを出発し、まずはHDSの植物学図書館に向かった。到着してみると、そこは一般には公開されておらず、中に入ることはできなかった。なので外観だけ眺めて来た道を引き返し、ハーバード美術館に向かった。その道中に、日本研究の研究センターに立ち寄り、どのような雰囲気なのかを確認した。今年は別の国の大学に行っている日本研究の泰斗ヘレン·ハーデカー教授がここに在籍しているのだと思い、今後もしかしたらまたこの研究センターに足を運ぶことがあるかもしれないと思ったので記憶に留めておくことにした。


今日のケンブリッジは見事な快晴で、気温こそ低かったが、太陽の光は暖かく感じられた。そこでふと、フローニンゲンは寒いだけではなく、冬の時代には曇りがちで、晴れの日が少ないことを思い、ケンブリッジ一帯の方が冬の時期に晴れの日が多そうだと気づいたことは収穫だった。積雪に関してはフローニンゲンよりもケンブリッジの方が深刻だが、冬の時代に晴れの日が多いというのは精神衛生上好ましい。フローニンゲンでは寒さに追い討ちをかけるように晴れの日が少なく、この8年で精神を本当に強靭なものにしてもらったと感謝したいぐらいだ。明日も快晴で、明後日にオランダに戻る日も快晴かつ最高気温が16度まで上がるというのはホッとする。これ以上寒い環境で生活をしていると、身体のだるさが治るのにさらに時間がかかってしまっていただろうと思う。とにかく明日はホテルの自室でゆっくりし、体調の回復に努めたい。


そのようなことを考えながらハーバード美術館に到着した。嬉しいことにこの美術館は入館料が無料であり、尚且つ見どころのある作品が多かった。しかし、芸術作品を味わうというのはおいしい食事を味わうのと同じくその瞬間の体調が重要になる。今日は体調が優れなかったので、ミロやモネ、ピカソやゴッホなどの名作をサッと見て3階に向かった。3階での特別展示がまさに今の自分にとっては啓示的だった。というのも、中国の歴史と絡めて現代アメリカにおけるアヘン中毒を扱っていたからである。特別展示の入り口の壁に置かれていたパンフレットは情報量が多く、後ほどじっくりと読み返したいと思う。インタラクティブな展示を心がけているようで、そこで上映されていたハーバードのMOOCのオピオイド中毒に関するメカニズムの動画を最初から最後まで見た。この特別展示を見れたことで大満足し、そこから優れない体調を押してSeven Starsという数日前に訪れた書店に足を運び、文献購入リスト内にあった4冊の書籍を購入した。そしてハーバードケネディスクールの方向に戻って来て、昨日夕食にテイクアウトしたヴィーガン料理専門店で違うメニューをテイクアウトしてホテルに戻って来た。少し早いが午後4時には夕食を食べ、今日は午後8時ぐらいには就寝したいと思う。ボストン:2023/11/2(木)15:31


11225. 【ボストン滞在記】サイケデリクスを扱ったハーバード神学大学院の会報誌と

出会って/大いなる確認の定着


ボストン滞在5日目もゆっくりと終わりに近づいている。もう少ししたら時刻は午後7時を迎える。先ほど、ボストン上空のエメラルド色に輝く夕焼け空を眺めていた。今日は本当に天気に恵まれた1日だった。幸いにも明日も明後日も晴天とのことなので、雨に煩わされたのは到着した日とその翌日だけだったかと思う。


到着の翌日には、HDSの世界の宗教研究センターに足を運んだ。ラッセル·パウエル博士との面会の前に研究センターの受付を何気なく眺めると、ハーバード神学大学院の会報誌(2022年の秋·冬号)に目が止まった。というのもその表紙に「Making Meaning of Psychedelics」と書かれていたからである。この会報誌には、HDSの植物と菌類の意識に関する読書会の主催者の1人の博士課程に在籍するレイチェル·ピーターセンの特集論文を含め、サイケデリクスに関する論文が2本掲載されていた。ここからもHDSの中でも盛んにサイケデリクスについて議論されるようになって来たことがわかる。もともとハーバードは、「ハーバード·サイケデリック·クラブ」と呼ばれる動きが1960年代にあったのだ。まさにその運動の先導者はティモシー·リアリーやリチャード·アルパートである。今、当時から半世紀以上の時を経て、再びハーバードでサイケデリクス研究のうねりが起こっていることに感銘を受ける。自分もこの流れの一員に加わることができたら本望である。


サイケデリクス体験は、私たちが欲するものを知覚させてくれるのではなく、私たちに必要なものを知覚させてくれるのだ。確かにサイケデリクス·セッションの前に各自そのセッションを通じて得たいものを考えることが推奨されるが、実際のところは私たちが願っているような形ではプロセスは進まない。むしろ私たちが見たくなく蓋をしていたものが見えてくる可能性もある。しかし、それも含め、サイケデリクス·セッションは、私たちに必要な事柄を私たちに知覚させるのだ。それはビジョンの形かもしれないし、洞察の形かもしれない。その点を押さえておくことは重要かと思う。


ボストン旅行から戻って生活リズムを取り戻してしばらくしたら、11月の中旬にシロシビン·セッションをしようと思う。ここからのシロシビン·セッションは自分にとって、「大いなる確認の定着」の意味合いを持つだろう。すでに自らが深層的に知っている真理を存在の奥深くに刻むことが最優先事項である。もちろん確認されていない未知なる真理もまだまだあるだろうから、それらを発見する都度次のセッションで確認をし、また新たな真理を定着させていく。その定着が相当に深まった時、シロシビンからの長期間の卒業を迎えることになるだろうか。LSD研究の泰斗であるクリストファー·ベイシュは、高服用量でのLSDセッションを73回ほど行った後、LSDから卒業した。このようなことがいつか自分にも起こるかもしれない。今はまだシロシビンの力が必要であり、その力をどこまで欲するのかについては絶えず自己観察をしておきたい。ボストン:2023/11/2(木)18:54

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