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タイトル一覧
11201. 【ボストン滞在記】早朝のシャワーを浴びながら閃いた研究案の修正
11202. 【ボストン滞在記】サイケデリクスを通じた超越体験の研究案
11203. 【ボストン滞在記】旅の最中に思うサイケデリクスがもたらす非日常意識について
11204. 【ボストン滞在記】今日の活動予定
11205. 【ボストン滞在記】今朝方の夢
11206. 【ボストン滞在記】「サイケデリックスピリチャリティ」に居場所を与えるために
11207. 【ボストン滞在記】ラッセル・パウエル博士の研究室を訪れて
11201. 【ボストン滞在記】早朝のシャワーを浴びながら閃いた研究案の修正
時刻は午前5時を迎えた。ボストン滞在3日目が始まった。今朝もまた午前4時半過ぎに起床し、そこから歯磨きをしてシャワーを浴びて今に至る。宿泊中のホテルには湯船がなくて残念だが、熱いシャワーを長い間浴びていると気持ち良く、今は身体がポカポカしている。
シャワーを浴びながら、昨日ハーバード大学神学大学院(HDS)のMDivプログラムの3年のポールとのミーティングの内容を振り返り、ライティングサンプルの見直し案を考えていた。ポールに事前にライティングサンプルのPDFを渡したところ、わざわざPDFを印刷し、細かく色々なところに赤字で書き込みをしてくれた。そのフィードバックのおかげで、ライティングサンプルをより良いものにしていくために大きく書き直しをしていこうと思った。実際には参考文献を見ながら執筆していく必要があるので、その本格的な修正はオランダに帰ってからになるが、先ほど閃いた重要なことを書き留めたおきたい。
HDSの「世界の宗教研究センター」で行いたい研究として執筆したライティングサンプルに関して、まずは2つの仮説を1つに絞ったほうが良いとポールから指摘されたが、どちらの仮説も検証してみたいものなので、仮説は2つにしたままに、研究結果の最終成果物を2つに分けることにした。1つ目の仮説に紐づくのは発達段階モデルの活用で、今のところはファウラーのモデルを採用するか、スザンヌ·クック=グロイターのモデルを採用しようと思っている。サイケデリクスの体験において自我の溶解は鍵を握るし、自我の肥大化した現代社会の様相からも、自我がどのような体験をするのかについて分析する方向性を検討したい。
ポールからの重要な指摘として、HDS内で行う研究は、今から60年前にティモシー·リアリーやリチャード·アルパートらが神学大学院の学生にシロシビン·マッシュルームを提供し、その研究が物議を醸したことの名残がまだあるらしく、実際に被験者を募ってサイケデリクス体験をしてもらい、その体験に対して質問表に回答してもらうのは技術的に難しいとのことだった。それを受けて、どれだけのサンプル数がいるのか不明だが、過去に何かしらのサイケデリクスを摂取したことのある神学大学院の学生を募ったり、サイケデリクスの読書会のメンバーに質問表を回答してもらうことに協力してもらってデータを集めようと思う。2つ目の仮説が「サイケデリクス ·スピリチャリティ」に関するものなので、できるだけ宗教的なバックグラウンドを多様にしたく、一般人から回答者を募るよりも、ハーバード大学神学大学院やボストン大学神学大学院など近隣の神学大学院の学生に質問表への回答を募りたいと思う。
ライティングサンプルで言及していた質問表は、ファウラーの信念の発達段階モデルと紐づいた10個の問いで、そもそも問いの数が多いこともあり、問いの数を2つぐらいまで絞り、その問いもまた見直そうと思う。完成した質問表に回答してもらった後に、自我の発達段階モデルでの分析と、仏教における意識状態のモデルでの分析を行いたいと思う。そのようなことをシャワーを浴びながら考えていた。ボストン:2023/10/31(火)05:32
11202. 【ボストン滞在記】サイケデリクスを通じた超越体験の研究案
夜明けを待つボストンの町。時刻は午前5時半を迎えた。昨日と同様に、真っ暗なこの時間帯からホテルの目の前の通りには車がたくさん走っている。そして、清掃車も動き出している。フローニンゲンではこの時間帯は静寂さが辺りを包んでいることを考えると、ボストンの朝は非常に早い。幸いにも今日は雲1つないほどの晴天に恵まれるようなので、今日もまた積極的に観光に出かけよう。
先ほどHDSに提出するライティングサンプルの修正案について考えていた。それについてもう少し補足をしておきたい。理想としては世界の諸宗教の意識の状態モデルを活用したいところだが、実際に研究に着手するとなると、高い専門性が求められることもあり、特定の宗教の意識の状態モデルを採用したいと思う。意識の状態モデルに関しては、意識状態の研究の泰斗チャールズ·タートの研究にも着目しながら、特定の宗教を1つ選ぶとするならばやはり自分は仏教を選ぶであろう。ちょうど昨日、ハーバード大学のCOOPで購入した書籍がまさに上座部仏教の意識状態のモデルについて精緻な解説を加えていて、それを採用したい。
自分の研究の大きな焦点は、意識の段階と意識の状態、そしてサイケデリクスを通じた超越体験にある。とりわけ前者に関しては、これまで自分が社会科学の中で探究してきた発達心理学の研究が活かせるため、原点回帰にもってこいである。意識の状態についての研究もまたインテグラル理論への回帰を促すものになるが、HDSという世界の諸宗教の思想について深く学べる機会を最大限活かし、インテグラル理論の意識状態のモデルでは語られていないより精緻な意識の状態モデルを仏教から汲み取っていきたいと思う。実際に昨日購入した書籍やその他の仏教における意識状態に関する解説書を読むと、ウィルバーが提供する意識状態のモデルよりも遥かに細かく細分化されていて、相当に精緻なため、仏教における意識状態のモデルを文献調査を通じて深く理解していき、そのモデルを研究に活用したいと思う。
先ほど書き留めたように、実際に神学大学院の学生にシロシビンを摂取してもらうのは実務上難しいとポールから指摘されたので、過去に何かしらのサイケデリクスを摂取したことのある人をまず募りたい。この時にMDMAやケタミンだと内的ビジョンの作用が弱いので、回答者を募る際にはサイケデリクスをリストアップしておき、そのリストに該当するサイケデリクスを摂取した人のみを回答者にしたい。おそらく複数のサイケデリクスを摂取したことがある人に対しては、どのサイケデリクスを摂取した時に起こった体験なのかを明記してもらおうと思う。体験の記載に際しては、どのような超越体験·神秘体験が起こったのかを書いてもらうようにする。その時に、とりわけ自我がどのような状態になったのかを尋ねることをしたい。そうすれば、その回答をもとに自我の発達段階モデルを活用できるだろう。そしてもう1つ重要な項目として、サイケデリクスを通じた超越体験をもとに、「サイケデリック·スピリチャリティ」という言葉から何を連想し、どのようなイメージや意味を持つかを尋ねる質問項目を設けたい。なので質問項目は10個から2個まで減らし、その代わりにそれぞれの質問項目に対して分厚く語ってもらうようにしたい。そうして得られたデータを2つの査読付き論文としてまとめていきたいと思う。このようなことをライティングサンプルに盛り込んでいこう。ボストン:2023/10/31(火)05:49
11203. 【ボストン滞在記】旅の最中に思うサイケデリクスがもたらす非日常意識について
今日からボストン滞在3日目ということだが、ふと自分の内側に感覚を向けてみると、初日からボストンに対して何の違和感もなく溶け込んでいる自分がいた。初日に受けたボストンの第一印象について書き留めた際には、大都市に対する違和感こそ指摘していたが、適応に対する違和感は全くなかった。これは自分がアメリカですでに4年間生活したことがあったことが関係しているだろうし、ボストンを訪れるのはこれが3回目になるので、そうした意味での慣れもあるかもしれない。いずれにせよ、ボストンの町そのものに適応することは全く難しくないことが改めてわかった。
とは言え、今は旅がもたらしてくれる非日常意識の中にいると言える。やはり自分の第二の故郷と言えるフローニンゲンを離れての滞在になるので、今この瞬間は旅が引き起こす通常とは異なる意識状態にいる。非日常意識(non-ordinary states of consciousness)と変性意識(altered states of consciousness)を区別することは難しいが、前者は文字通り、日常では感じられないようなちょっとした非日常性がある意識状態なのに対し、後者は日常の中で体験するちょっとした意識の変化の状態である。例えば後者でいくと、日常生活の中でアルコールを摂取することによって変性意識状態に入ることができるし、日常生活の中で神社や教会に行ってちょっとした変性意識状態に入ることが可能である。実は私たちは食べ物を食べている時にも微弱の変性意識状態に入っていると言われることからも変性意識状態の範囲は広いのだ。なので包摂関係で言えば、最も広いものとして変性意識があり、その中に非日常意識があると言えるだろう。なのでサイケデリクスの摂取は変性意識を引き起こすものでありながら、同時に非日常的な意識状態に誘うと言うことができるかと思う。
非日常的な意識状態に入るための手段や機会はたくさんある。サイケデリクスの摂取は1つの手段にすぎない。その他にも瞑想実践、スポーツやゲーム、さらには勉強や仕事への没頭を通じたゾーンの状態なども非日常意識を引き起こす手段となる。旅もまたその1つの手段かつ機会である。こうした様々な手段と機会がある中で、サイケデリクスがもたらす非日常意識性の価値や意義はなにかと言うと、その他の手段にはないほどの意識の深みを体験させてくれることと、その体験を通じた自己発見·世界発見(あるいは「リアリティ発見」「真理発見」)があることである。繰り返しになるが、確かにサイケデリクスは非日常意識を引き起こす手段のうちの1つに過ぎないが、他の手段には代替することができない意識の深みを開示してくれることに大きな役割がある。それこそチャールズ·タートや仏教の意識状態モデルを活用してみれば、サイケデリクス以外の手段とサイケデリクスとでは、体験できる意識状態の深さが全く違うことがわかるであろう。深い意識状態の体験を通じた深い自己洞察や世界洞察(リアリティ洞察)を得ること。そしてその洞察を通じて日常を再び新しく、さらに深く生き直すことを促してくれるのがサイケデリクスの大きな意義の1つだということを改めて思う。 ボストン:2023/10/31(火)06:47
11204. 【ボストン滞在記】今日の活動予定
時刻は午前7時を迎えた。すっかりボストンの町も夜が明けて、晴れ渡る見事な青空が見える。ぽつりぽつりと雲が見えるぐらいで、空は本当に快晴だ。どうやらここから雲は消えていき、雲1つない天気の中で今日を過ごすことができそうだ。
今日はハーバード大学内の美術館·博物館巡りをしようと思っていたが、それは木曜日にしようと思う。明日はいよいよHDSのオープンキャンパスイベントの日で、朝から夕方まで1日かけて行われるので、明日はもうそのイベントだけで時間が過ぎていくだろう。木曜日には植物と菌類の意識に関する読書会に参加する予定だったが、2人の主催者の判断で、今は忙しくなっている参加者が多いとのことで、読書会は延期になった。なので木曜日も完全にフリーとなり、天気もう良いようなので、その日にハーバード大学内の美術館と博物館をじっくり巡りたいと思う。昨日改めてハーバード大学のキャンパスを歩いていたが、学部生のメインキャンパスだけではなく、様々な大学院のキャンパスと合わせると、本当に迷子になってしまうぐらいに広大な敷地を持っているのがハーバード大学なのだと実感した。仮にHDSに進学したとしても、1度も踏み入れない建物が無数にあるだろうと想像された。
さて今日はまずボストン大学のマーシャル礼拝堂に足を運ぼうと思う。礼拝堂は10時から開くようなので、10時過ぎにホテルを出発しよう。かつてサイケデリクス研究の走りである「聖なる金曜日の実験」が行われた礼拝堂に行き、その神聖な雰囲気に包まれる形でしばし瞑想をしたいと思う。用事はそれだけなのだが、礼拝堂の雰囲気を味わい、当時のサイケデリクス実験に思いを馳せる形で自分のこれからのサイケデリクス研究を展望したい。そこできっと何かまた新しい展望が開かれてくるのではないかと思う。
礼拝堂で時間を過ごしたら、午前11時から開店の“Seven Stars”という書店に足を運ぶ。今日は天気が良いので、せっかくなので礼拝堂からその書店まで歩こうと思う。チャールズ川を渡って歩いて35分ぐらいの距離なので、良い散歩になるだろう。その書店で何か良書がないかを探し終えたら、今度はHarvard Book Storeに行く。昨日はHarvard COOPで3冊ほどサイケデリクス研究につながる書籍を購入することができた。興味深いことに、COOPにもサイケデリクス·ルネサンスの流れを受けて、いくつかサイケデリクスに関する学術書が置いてあった。それらはすでに購入済みだったので手に取ることはなかったが、一般の人が行く書店にサイケデリクスの書籍が置かれているあたりに5年前とはサイケデリクスを取り巻く様子が随分と違うことがわかる。ハーバード大学のジャーナリスト学部に在籍しているマイケル·ポランの貢献は大きなものがあるだろう。実際にポランの主著“How to Change Your Mind”が置かれていた。
2軒の書店を訪れたら、今度はバスに乗って、少し気が早いがHDSに進学した場合のマンションの下見をしてこようと思う。以前はケンブリッジの中心にあるマンションに住んで歩いてキャンパスに行こうと思っていたが、街の中心は自動車の騒音や人が多いこともあって、バスで大学に通える距離の静かな環境のマンションに住みたいと思った。未曾有の円安を受けて、ラグジュアリーマンションの月の家賃は30万円ぐらいしそうだが、設備の良さと環境の良さを考えると、住居代にそれくらい支払っても良いかと思う。それくらいに今の自分は居住環境を大切にしている。フローニンゲンで享受しているあの落ち着いた環境が自分の探究と実践をそれ以上にないほどに深めてくれていることを思うと、数年の間はある意味自己投資として落ち着いて便利な環境にお金を払いたいと思う。ボストン:2023/10/31(火)07:36
11205. 【ボストン滞在記】今朝方の夢
時刻は午前8時半を迎えた。今日は昨日以上に冷えていて、今の気温は6度ほどだが、見事な快晴がその寒さを忘れさせてくれる。とは言え後ほど外出する際には、上下にヒートテックを着ていきたいと思う。昨日は下にヒートテックを着用していたが、上には着用していなかったので、ホテルを出発してからしばらくは震えるぐらい寒さを感じていた。今日は昨日よりも一段と気温が下がっているので、暖かい格好をして出かけ、秋のボストンの陽光を浴びながらの散歩を楽しみたい。
そう言えば、今朝方の夢についてまだ振り返っていなかったので、振り返りをしておきたい。まず覚えているのは、昨日HDSのMDivプログラムの3年目の過程に在籍しているポールとサイケデリクス研究について熱く意見交換をしていたことが影響してか、夢の中でもポールとサイケデリクス 研究について情熱を持って意見交換していた。ポールは相当に知的で、話し方や話す言葉から知性の高さが滲み出ていた。彼の話についていくことを通じて、彼もまた私のことを認めてくれたようで、時折笑顔を交えながらお互いの考えをぶつけていった。そこでなされていたやり取りは建設的な批判を伴うものであり、そうしたお互いのフィードバックが双方の思考を磨くことにつながっていた。思考が整理されるだけではなく、対話が進めば進むだけ、お互いの思考が一段、二段上の次元に到達することを実感していた。最初に覚えていたのはまずポールとのサイケデリクスに関するやり取りの場面だった。
次に見ていたのは、ハーバード大学のグッズショップでかさばるお土産を購入し、スーツケースに入るか心配になっていた場面である。奇妙なことに、私は普段購入しないような円盤型の土器を購入しようとしていた。それに加えて、同じ円盤の形をした陶器の皿を購入しようとしていた。それらに加えてハーバード大学のロゴが入ったマグカップを購入することにし、合計で3点の品を購入した。そこでふと、すでに数冊ほど今回の滞在で書籍を購入していたことを思い出し、機内持ち込み用の小さなスーツケースに全ての品が入るかが気になっていた。きっとなんとか入るだろうと楽観的な考えが浮かんだところで夢から覚めた。今朝方も何回か目覚める時があったが、それでも総じて睡眠の質は高く、午前4時半に起床したときには心身共に状態が良く、脳もすっきりしていた。今日もまたケンブリッジを中心にして散策をし、書店巡りをするので、それが刺激となって今夜もまた印象に残る夢を見るだろう。ボストン:2023/10/31(火)08:47
11206. 【ボストン滞在記】「サイケデリックスピリチャリティ」に居場所を与えるために
朝の穏やかな太陽の光に包まれながら、世界における人間界では光とは言えないような出来事が起こっていることに思いを巡らせていた。昨日にハーバード大学のメインキャンパスを訪れた時、キャンパス脇でハーバード大学に通うイスラエル人の学生たちが、今イスラエルとパレスチナの間で起こっている紛争状態について何かを主張する横断幕を掲げていたことを思い出す。
今朝方、改めてサイケデリクスの摂取体験を通じて目覚めるうる「サイケデリックスピリチャリティ」について考えていた。HDSで研究を深め、提唱をしたのはまさにそれである。チャールズ·テイラーが述べる世俗の時代にあって、人々はますます特定の宗教から離れている。実際に自分が住むオランダでは、キリスト教からの離脱者が多く、人口の7割近くが無宗教である。これはEU諸国の中でも高い割合かと思うが、社会における世俗化が進むだけ、無宗教の人がこれからますます増えるであろう。世間では、「宗教的ではないがスピリチュアル(spiritual but not religious: SBNR)」と称する人たちも増えている。人類の意識の進化上、宗教を無批判に信奉する段階から合理性段階に進む過程で無宗教になったり、SBNRになったりする流れは理解できる。しかし、深い霊性を獲得する過渡期にあるそうした段階においては、スピリチャリティの方向性を見出しづらいこともあるだろう。それを受けて、科学と哲学の研究によって担保されたサイケデリックスピリチャリティの存在意義について提唱したいという思いが湧いてくる。もちろん自分はHDSで宗教や神学の観点からもサイケデリクス体験の研究を進めたいと思っているわけだが、サイケデリクス·ルネサンスの流れを受けて、サイケデリクスに関する科学的探究と哲学的探究が分厚く堆積する動きに乗じて、そうした研究成果を受けてサイケデリックスピリチャリティにも居場所を与えたいという強い思いがある。霊性を深め、探求していく道は多様にあるし、多様にあってしかるべきである。スピリチャリティの多様性を確保するためにも、そしてスピリチャリティに対する多様な探求の道と涵養の道を作るためにも、「サイケデリックスピリチャリティ」という構成概念を提唱したいのだ。実際に自分自身がそうしたスピリチャリティのおかげで、特定の宗教を信奉せずとも自らのスピリチャリティを深めることができていたという恩恵を受けていたのである。そうした恩恵を一部の人に留めるのではなく、多くの人に享受してもらうためにも、自分のサイケデリクス研究は、サイケデリックスピリチャリティの存在意義を明確にし、それに社会的な居場所を与えることにつなげていきたいと強く思う。ボストン:2023/10/31(火)09:04
11207. 【ボストン滞在記】ラッセル・パウエル博士の研究室を訪れて
ホテルの自室から見えるボストンの街の木々の紅葉が美しい。今回は本当に良い時期にボストンを訪れたものである。秋の深まりを見せるボストンの中で、ここまでの数日間はすでに強い充実感を感じさせてくれるものだった。
昨日、HDSの「世界の宗教研究センター」でお話をさせてもらったラッセル·パウエル博士とのやりとりを思い出す。パウエル博士の研究室に招き入れてもらった際に、研究室がまだ新しく、本棚がほぼ空なことに気付いた。パウエル博士曰く、この10月から研究センターにやって来たばかりとのことで、まだ自分の研究室を整えていないそうだった。10月にはモンテネグロに2週間ほどハネムーン旅行に出かけていたらしく、それもあって研究室を整えることができていないらしかった。ミーティングの準備運動として、モンテネグロ旅行について色々と話を伺ったところ、モンテネグロの人たちは英語が達者で言葉で苦労することはなかった話や、アメリカとはまた違う山の景色を楽しむことができたという話などを伺った。
そこからは研究センターでのプロジェクトの話や、研究センターで自分のサイケデリクス研究が実現可能かについての話を伺った。端的には、嬉しいことに研究センターで自分のサイケデリクス研究を進めていくことは十分に可能とのことだった。ラッセル博士は社会変容における超越体験の役割について研究しており、直接的にサイケデリクスを扱っているわけではないが、サイケデリクスによって引き起こされる超越体験にも当然ながら強い関心があるとのことだった。パウエル博士は1年間の契約で研究センターに所属しており、願わくばさらに契約年数を延長し、博士課程の学生のアドバイザーを務めることやクラスを受け持つことに関心があるようだった。パウエル博士に会った瞬間から人柄に大変好感を持ったこともあり、ぜひ来年以降も研究センターに残って欲しいと思う。今は学生の指導教官の役割を担っていないとのことだったが、研究を進める上での対話相手になってくれるとのことで、晴れてHDSに進学したら是非ともパウエル博士に対話相手になってもらいたいと思う。研究センターでメインにサイケデリクスを扱っているのはセンター長のチャールズ·スタング教授と、イタリア人のジオヴァンナ·パーミジアーニ教授だと教えてもらった。センター長のスタング教授については研究センターのYoutube動画を見て雰囲気を知っていたし、パーミジアーニ教授のニューエイジスピリチャリティや魔法の文化人類学のクラスは是非履修したいと思っていたので、2人は今後研究アドバイザーになってもらえないかを晴れてHDSに進学したら打診したいと思う。パウエル博士との対話の中では、サイケデリクス研究を取り巻くアメリカの大学の状況やハーバード大学の動向についての話を伺い、とりわけHDSの研究センターのユニークさは神学と人文学の観点からサイケデリクスを多角的に研究できる点だと太鼓判を押してもらった。この点については志望動機書にも盛り込み、なぜ自分がHDSが自分の研究にとって一番ふさわしい場所かを述べておこうと思う。ボストン:2023/10/31(火)09:41
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