1280. 点・線・面・立体を構築する自己組織化能力
今という瞬間が、なんだかとても素晴らしく知覚される。この瞬間にも着実と時間が進行し、七月のとある日曜日が終わりに向かっているのは確かなのだが、そうした時間の流れすらも些細なもののように思える気持ちがある。 アンドレアス・デメトリオが編集した “Cognitive...
1222. インテグラル・ジャパン代表鈴木規夫さんとの『成人発達理論による能力の成長』の出版記念対談より
先日、インテグラル・ジャパン代表の鈴木規夫さんと『成人発達理論による能力の成長』の出版記念対談をさせていただいた。 対談の冒頭で、カート・フィッシャーの理論とロバート・キーガンの理論の関係について質問を受け、その点についてもう少し補足が必要だと思った。書籍の中では、前者の理...
1193.「測定主義」の危険性
先ほど、一年目のプログラムの最終試験を全て終えた。今日は、太陽が燦々と降り注ぐ夏日であり、試験会場に行く最中の道のりは、とても暑く感じた。 今日の試験は、「成人発達とキャリアディベロップメント」に関するものであり、一年目のプログラムを締め括る最後の試験だった。この一年間で受...
583. ピアジェの発達理論
夕方から夕食までの時間、そして夕食後からしばらくの間、ピアジェの構造的発達理論に関する論文に目を通していた。ピアジェの関心事項の一つは、知性発達の領域全般型特性を明らかにすることにあった。 つまり、ある一つの知性領域——論理思考など——が次の段階に到達すれば、新たな段階の能...
573. 孤島と連絡船:能力開発に対する視点
やはり今の自分は、特殊な環境の中に身を置き、特殊な活動に従事し続けていることに気づく。正直な感覚は、孤島の中での生活に近いと言えるだろうか。このような生活を望んでいた自分が存在していたことは間違いない。 また、このような環境に私を運んでくるような力が自己の背後にあったことも...
200. キャリア段階ごとの職業人の自我と能力の発達
幾分気が早いのであるが、記事194で取り上げた「成人発達とキャリアディベロップメント」というクラスでの小研究テーマとして、「キャリア段階ごとの職業人の自我(identity)と能力(skill)の発達」を取り上げたい。 被験者を募るのはまだ先のことであるが、幾つかの専門職(...
195. レクティカ時代の回想:発達測定手法の開発プロセスについて
マサチューセッツ州にある人間発達に関する研究機関レクティカ時代のことを少し振り返ってみた。現在、日本の企業組織向けに構造的発達心理学に基づいた人財評価システムを開発している最中であるため、レクティカが新たな発達測定手法を開発する際にどんな開発プロセスであったかを思い出してみ...
166.記事157から165までのまとめ:測定手法と理論モデルの差異
それでは、ここで一旦これまでの記事「157-165(164を除く)」をまとめたいと思います。これまでのところ、「発達の高度」という概念を明瞭にするために、構造的発達理論の歴史において鍵を握る幾つかの概念を見てきました。 ケン・ウィルバーが提唱しているように、多種多様な知性領...
165.「領域全般型」の測定手法の誕生:マイケル・コモンズの階層的複雑性理論
「記事163. ローレンス・コールバーグからカート・フィッシャーへと受け継がれる思想:多様な知性領域に存在する領域全般型の特性」では、ローレンス・コールバーグからカート・フィッシャーに受け継がれた発達思想「領域全般型の発達特性」について紹介しました。...
53. 発達の共時性:ロビー・ケースの実証結果
ここ数回の記事で、領域特定型発達モデルの限界について言及してきました。もう一度おさらいをしておくと、領域特定型発達モデルの限界点は、発達の可変性を蔑ろにしてしまっているということでした。 もちろん、私たちはある特定の文脈、つまりある特定領域に基づいて能力を発揮していく生き物...