241. 私の中のニッサン・インゲル先生:変容と治癒をもたらす芸術
——創作のためには努力を怠らない。それは自分自身への挑戦でもある。そして人生は全てを達成するには余りにも短すぎる——ニッサン・インゲル 渡欧の日までいよいよ2週間を切った。「時」というものの正体を考えざるをえないほど、この一ヶ月は早く過ぎ去ったし、遅く過ぎ去った。...
235. 私の中の辻邦生先生:有限から無限へ
——真に考え抜き、真実に生きたことだけが人間を打ち、人間を打ったものだけが人間の遺産となる——辻邦生 頭の中で地球儀をぐるりと回してみる。日本とオランダの距離を頭の中で推算してみた。それに付随して、地球の円周と直径の長さについても推算してみた。...
223. 言葉の履歴書
——「名付ける」とは、存在を明澄の場(人間的空間)にもたらすことであった——辻邦生 今朝、毎朝焙煎している有機豆のコーヒーが全て無くなった。人は自らの余命に限りがあることを知った時、そこからの一瞬一瞬は全て新鮮なものとして目に映り、ありふれたものだとこれまで思っていたものた...
219. 母校の思い出と大月康弘先生
——世界を識ることは己を知る途でもある——大月康弘 変わることのない景色が、ある日突如として別の姿を露わにする瞬間に立ち会ったことはないだろうか?4年間通った母校を久しぶりに訪れた時、あの時と変わらない佇まいの兼松講堂や時計台は、もはや当時とは質的に異なる何かを発しているよ...
207. “recreation”と"re-creation"
——人間の魂は、自己を落ち着いて眺めうる時間の長さだけ豊かになるのかもしれない——辻邦生 東京も梅雨らしくなってきた。雨の日と雨の日の間にある晴れの日がより一層輝きを放っている。 雨の日と晴れの日が分かちがたく結びついた梅雨の季節を愛でることができるようになったのは、ここ最...