1159. 80年続く内側の中心主題
午前中に計画していた論文を全て読み終えた私は、近所のスーパーに四日分の食料を購入しに自宅を出た。部屋のドアを開けてみると、夏を彷彿とされる熱気に包まれた。 その熱気は、螺旋階段の下から上に向けて上昇するような渦を持っているように思えた。自宅の中はあれほど涼しかったのに、部屋...
1123.『成人発達理論による能力の成長』の序章における主題:「意識の発達論的還元主義」
昼食後、仮眠を取り終えた私は、午後からの仕事に着手する前に、埴谷雄高氏の『死霊』を読んだ。午後からの仕事を始める前についついその作品に手が伸びてしまった、と言った方が正確だろう。 本日をもって、全九章にわたる作品のうちの第一章を読み終えた。二日に一章のペースで読み進めること...
1070. 春らしい一日の中の不必要な焦り
今日は少しばかり、目には見えないような精神的焦りを抱えているようだった。先日のサスキア・クネン先生とのミーティングで得られたフィードバックを元に、午前中に修士論文の手直しを行った。 その作業は非常に順調に進み、あとはいよいよ論文全体の細かな体裁を整える段階に入った。今週の水...
1063. 埴谷雄高著『死霊』
そこにあったのは興奮だった。不気味な興奮が背筋を駆け上っていったのは、これが初めての経験かもしれない。 そのような出来事に本日見舞われた。今日は今朝から論文を執筆していた。 早朝に、カントの “Critique of Pure Reason...
1058. これまでの七年間の回想
昨夜、就寝に向かう前に本棚の前を横切った時、二人の著者の書籍に思わず目を止めた。一人目の著者は、ケン・ウィルバーである。 中でも、 “Sex, Ecology, Spirituality (2000)”と “One Taste...
1030. 論文創出に関する思想体系と方法体系の構築へ向けて
今日は午後より、修士論文の手直しを行っていた。先日執筆した文章を再び読み返すと、執筆した本人ですら即座に意味を理解できない箇所があったり、パラグラフ全体の堅牢性が脆弱であったりする箇所が目立った。 特に、 “Discussion”セクションでは、私自身の考えを分析結果をもと...
1028. 辻邦生著『パリの手記』を読み終えて
書斎に鳴り響くベートーヴェンの力強い交響曲とは打って変わって、今の私はとても神妙な気持ちに包まれている。たった今、昨年の夏に日本を離れる直前から読み始めていた、辻邦生先生の『パリの手記』全五巻を読み終えた。 私が米国での最初の二年間に陥った精神的な危機に再び陥ることを避ける...
974. 日記が持つ秘術と顕術
——あなたは日記をつけていますか?——ラルフ・ワルド・エマーソンからヘンリー・デイヴィッド・ソローへ 早朝から日記を書き続けている。昨日は、午前中の数時間を除き、残る時間は全て、自分が執筆した書籍の初校を読み続けていたのであるから、文章を書きたいという衝動が湧き上がるの...
906. 旅日記に対する思い
昨夜、就寝前に、書斎の電気を消そうと思った瞬間に本棚に目がいった。すると、辻邦生先生が書き残した旅行記の背表紙が、私の目に飛び込んできた。 私は、おもむろにその旅行記に手を伸ばした。これまで何度か、自分にとって日記を読むこと・書くことの持つ意味について書き留めていたように思...
890. 書くことの意味と真の仕事について
欧州での生活を始めてから、気づけば八ヶ月が過ぎた。オランダには合計で三年ほど滞在する予定であるため、まだ道の半分にも至っていない。 さらに、今後の自分の人生を考えた際に、欧州のどこかの国でしばらくの期間落ち着く可能性もなくはない。そのように考えると、私はまだたった八ヶ月しか...