2299. 船旅の価値と日欧の文化の深さ
またしてもぼんやりと船旅について考えている自分がいた。船に乗ってこの世界を旅するという思いにどうしてこれほどまでに駆り立てられているのかわからない。 それは衝動的というよりも、静かな情熱に満ちた促しである。昨日に一度、そして今日も船で世界をゆっくりと一周することについて思い...
2282. 日記の編集と仕事の尊厳
先日、とても有り難い連絡を受けた。ある方から日記を読んでくださっているという趣旨の連絡だった。 確かにこのように日記を公開しているのだが、日記という本来の特性上、私は他者に向けて一切日記を執筆していない。しかし、究極的なまでに個人的な実践のその先に、普遍的な領域への道がある...
1954.今年最後の夜に
2017年最後の日の晩餐を終えた。今、自室に戻り、今年最後の日記を書いている。 数年前に両親の結婚30年を祝って贈ったワインをまだ飲んでいないとのことだったので、晩餐時に私も飲ませてもらった。それは、1983年に製造された “Pernand...
1931. 永遠に導く言葉
昨日、母が演奏するバッハの前奏曲第一番を近くで聴いた。とても見事な演奏だった。 また、ピアノの演奏技術が一年前よりも高度なものになっていることにも驚いた。毎日数時間でもいいので実践を続けていくことの意義を、母の演奏は私に教えてくれたように思う。...
1819. 日常世界の隣にある永遠世界
今年の冬は、外側の世界も自分の内側の世界も昨年と異なるようだ。先ほど私は、今後の人生における生活拠点をぼんやりと考えていた。 学術研究と作曲実践に深く純粋に打ち込める場所であれば、世界中のどこであっても構わない。そんな考えが脳裏をよぎる。...
1767. 還元化と分断化の波
昨日は作曲について考えている過程の中で、音楽が果たす重要な役割の一つに、小説が果たす役割と似たようなものがあることに気づいた。 音楽も小説も、精神的なものをそこに体現させ、それを通じて世界に働きかけていくという重要な役割がそこにある気がしてならない。小説家の辻邦生氏は、小説...
1542. 論文執筆の内的必然性を掴むために
昨日とは異なり、今朝は風も緩やかで、大きな雨雲も見えない。天気予報によると、早朝のみ晴れであり、それ以降は夜まで雨が降るとのことである。 また、明日からも数日間は雨が続く。昨日のうちに、数日分の食料を購入していたため、今日からしばらくは書斎にこもって学術研究と作曲実践に打ち...
1532. ためらいのない歩み
今日からいよいよフローニンゲン大学での二年目のプログラムが実質上始まる。先週にプログラムに関するオリエンテーションがあり、今日から実際のコースが始まる。 昨夜はいつもと同じ時間に就寝したにもかかわらず、今朝はいつもより一時間以上遅い時間に起き、睡眠をいつもより多く取った。昨...
1376. 寺田寅彦・川端康成・小林秀雄
不思議な感覚の中、今日という一日を終える。それが日記であったとしても、自分が何か文章を綴ることが卑しい行為であるかのように思えるような一日の終わり方だった。 確かに今日は、午前中を迎えるまではいつもと同じ生活を送っていた。早朝に自らで計画を立てていたように、“Dynamic...
1352. 創造衝動と自由の実現に向けて
午前中、サイバネティクスの創始者ノーバート・ウィーナーの書籍を読み終えた。本書の主題とは関係のない一つの文章が印象に残っている。 芸術家、作家、科学者は、その仕事に対価が払われるか否かに関係なく、創造衝動に基づいて動かされるべき者である、という記述に立ち止まらずを得なかった...