

505. 知識体系と外国語
フローニンゲンの街は、すっかり冬らしくなった。夕方、書斎の窓から景色を眺めると、ほのかな光を放っている夕日が目に飛び込んできた。極めて淡いオレンジ色の光を放っている夕日を眺めていると、社会学者のタルコット・パーソンズが知識をスポットライトに見立てた比喩を提示していたことを思...


492. 卓越性の発達に関する三つの制約
今回は、知性や能力の高度化に関する発達科学の近年の潮流を踏まえ、発達に影響を及ぼす複数の要素間の相互作用を考慮に入れた支援手法について見ていきたい。一つ面白い論文として、 “A constraints-led perspective to understanding...


481. 離近
今、書斎の窓から夕暮れのフローニンゲンの空を眺めている。空には雲が浮かんでいるのだが、それは流れずそこに留まっているように見える。赤いレンガ造りの家々と同じ色をした夕日が沈んでいく。 このように外の景色を眺めていると、外側の世界をゆっくりと味わうことが、内面世界に均衡を生み...


480. 日常的な非日常的休日
今日は、非常に仕事がはかどった日曜日であった。早朝にオンラインゼミナール用の教材を作成し、研究プロジェクトに向けて文献リストを作成し始めた。ここからは哲学書や専門書から少し離れ、数多くの学術論文を読み込んでいくことになるだろう。...


477. 無数の言語ゲーム
昨日の学術会議に参加した経緯をよくよく振り返ってみると、この会議の趣旨をそれほど理解せぬまま参加を決意したように思う。実際のところ、この会議の趣旨や参加者の専門性を理解したのは、会議が始まってしばらくしてからであった。 特に参加者の専門性を理解し始めたのは、会議の経過に応じ...


455. 意味の玉手箱
非常に滑稽なことが起こった。例のホワイトヘッドの哲学に関する専門書を70ページほど読み進めた結果、自分がノートにメモを取ったのは「全ての実体は非線形的な変化を遂げる」という記述だけであって、その具体例として「人は同じ川を渡ることは二度とない」「人は同じ事柄を考えることは二度...


426. 内なる原形
今から一ヶ月か二ヶ月前に経験したような爆発が自分の内側で再び起こりそうな気配を感じている。今の自分には特定領域の探究に自己を向かわせる差し迫る何かが確かにあり、それは脅迫的なものではなく衝迫的な探究衝動である。 現在直面している壁を乗り越えるには、ここでもう一度、自分の内側...


409. 何気ない日常から
今日からしばらくフローニンゲンの街は天気が悪くなるそうだ。今朝は、起床直後からまずはオランダ語の試験に向けて学習を行った。オランダ語の試験は初めてであるため、何かと未知なことが多いが、これまでの学習内容を振り返る上でもこうした試験があるのは有り難いことである。...


396. 自己探求と社会実践について
今日から少しずつ、発達科学の歴史と複雑性科学の歴史を結びつけるような作業に取り掛かっている。より具体的には、作業範囲を少し狭めて、構造的発達心理学の文脈の中にシステム理論の進展過程を捉えるということを行っている。 この作業を開始しようと思った直接的な理由は、もちろんながら現...


368. 個人と組織の発達に関する新たな理論モデル「ダイナミックネットワーク理論」
フローニンゲン大学でダイナミックシステム理論に関する経験豊富な研究者や実務家から直接教えを受けることに伴い、ただただ嬉しい意味での驚きに包まれている。この一年間の小さな目標は、これまで培ってきた構造的発達心理学の言語体系を一旦手放し、新たな言語体系を内側に構築していくことで...