605. 専門領域の「密教化」に抗って
今日は、絶えず霧に包まれた一日であった。確かに、雲ひとつない晴天の一日も好きなのだが、このように鬱蒼とした霧がかかっている一日も、それはそれで趣きがある。 午前中と午後に二つの論文を読み、それらがとても洞察に溢れる内容だったので、打たれる感情を噛みしめるのに少し時間がかかっ...
598. 新・新ピアジェ派としての私
今日は早朝から、現在進行中のオンラインゼミナールの最終回の講義資料を作成していた。最終回は、知性発達科学の歴史的変遷を辿りながら、知性や能力の発達に関する近年の思想や理論などを取り上げる予定である。 厳密に知性発達科学の源流にまで遡るのであれば、仏教の意識の発達思想やヨガの...
578. ポール・ヴァン・ギアートの背中を追いかけて
今日は、「複雑性と人間発達」の第三回目のクラスに参加した。今のところ、このクラスの前には必ず、友人の誰かとカフェテリアで一時間ほど話をしている。今日は、ドイツ人の友人であるヤニックと対話をしていた。 学部時代からフローニンゲン大学で学んでいるヤニックは、この街で生活を始めて...
560. 思わぬ誤解
今日は、待ちに待った「複雑性と人間発達」というコースの第二回目のクラスに参加した。初回のクラスは、私の論文アドバイザーであるサスキア・クネン教授が務めたが、今回のクラスは、物理学者のラルフ・コックス教授が担当した。 形式上、私が現在所属しているのは心理学科であるが、このコー...
558. 言語への関心
ザーニクキャンパスで行われた「研究倫理」に関するレクチャーの前に、発達心理学科に在籍しているピーターとたわいもない雑談をしていた。ピーターが日本の浅草を訪れた話について、あれこれこちらから質問をしていた。 アムステルダム出身のピーターは、アムステルダムにある日本語学校に通っ...
538. 内面世界の共有
複雑性科学と発達科学を架橋した領域については、これまで一人で学習を進めてきたため、探究の開始を知らせる鐘は、随分と前に鳴らされていたのだと思う。しかし、自分の研究プロジェクトを通じて、当該領域を真に探究することは、「複雑性と人間発達」というコースが開始されることによって、始...
537. 「複雑性と人間発達」コースの開始
今日は、待ちに待った「複雑性と人間発達」というコースがスタートする日である。私がフローニンゲン大学に来た最大の目的は、このコースを受講することによって、発達研究にダイナミックシステムアプローチを適用する理論的・技術的な力を高めることであった。...
532. キーガンとウィルバーからの脱却と回帰
オランダでの生活で一つ厄介なのは、アマゾンで注文した書籍が到着することが遅いことである。物流面のシステムがそれほど整備されていないからなのか、注文予定日よりもだいぶ遅くに書籍が到着することがあったり、書籍のロスト率も米国や日本で生活をしていた時に比べると、格段に高い。...
517. 冬の中の灯火
フローニンゲンの街も完全に冬に入ったようである。早朝、書斎の窓から目の前のストリートを眺めると、厚手のコートやニット帽に包まれた人たちが懸命に自転車を漕いでいるのが見えた。 私も今日からいよいよ、自宅のヒーターを活用し始めた。ここからしばらくは、長い冬の時期となる。私は特定...
512. 心象イメージと本日の読書
以前言及したような、意味が生成する深層世界に意識的に参入することが可能になりつつある。就寝前に、目を閉じて横たわりながら心身をリラックスさせ、その後、自分の手のひらをおでこにかざすと、意味が生成する深層世界に入っていくことを感じることができる。...