

1232. 旅を拒否する夢と組織の発達支援に向けて
書斎の窓の外に広がる静かな世界を眺めていると、昨夜の夢の内容が自発的に思い出された。夢の中で私は、実際に自分が通っていた中学校にいた。 部活動を終え、体育館の脇を通ろうとしていると、二車線の道路に面しているその体育館の裏手側に、突如として大型客船が現れた。ちょうど、体育館と...


1228. 意味とメンタルモデル
今日は午後から、教育科学と複雑性科学に関する論文と、組織行動論と複雑性科学に関する論文をまず読んだ。前者の論文は、複雑性科学の中でも極めて重要な「創発」という概念を用いたカリキュラム構築や、明確な意思や意図に基づいてなされる教育と無意識になされる文化的な枠組みの吸収を区別し...


1221. 日本で根強いピアジェの発達段階理論に関する誤解
先日、知人の方から、日本の教育学者の方たちが、ピアジェの発達段階理論を極端に否定する傾向にあることを聞いた。実際にいくつかの議論を教えていただいたところ、その議論の進め方は、非常に乱暴であったことにひどく驚いた。 ピアジェが発達段階理論を提唱して以降、ピアジェの理論に対...


1194.『成人発達理論による能力の成長』:能力という生態系の危機
本日の夕方から、二ヶ月半ほどの夏期休暇に入った。最終試験終了後、自宅に戻ってから早速、この休暇を利用して読もうと思っていた論文群に手をつけ始めた。 今から数日間ほどは、まずMOOCに関する論文、インナ・セメツキーの教育哲学に関する論文、ダイナミックシステム理論に関する論文を...


1162. 変容と経済学
自分の無意識が馬車馬のように駆け巡り、飛翔する馬になろうとするようなイメージが突如として浮かび上がった。そもそも私の無意識自体を馬のような単一の生き物に還元すること自体おかしなことであるが、そのようなイメージが湧き上がってきたのは確かである。...


1148. ヘラクレイトスと自己との闘争
ふと、今年の三月初旬にザルツブルグで行われた学会の初日の夕食会を思い出していた。特に、その夕食会での数人の研究者との会話を思い出していた。 私のディナーテーブルには、アメリカ人、ギリシャ人、スペイン人、ポルトガル人、デンマーク人の研究者が座っていた。この学会は複雑性科学に関...


1146.「リゾーム(地下茎)」と認識の枠組みのベクトル転換
今日は非常に寒い一日だった。「涼しい」というよりも「寒い」という表現が最も妥当な体感温度であった。 先ほど、今日の仮眠中の意識内の現象について振り返った後、それに類似したまた別の現象について考えを巡らせていた。フランスの哲学者ドゥルーズとガタリが提唱した「リゾーム(地下茎)...


1128.『成人発達理論による能力の成長』の一章における主題:「能力開発物語からの脱却」
穏やかな風と優しい太陽光が降り注ぐ金曜日。今朝は最初に、複雑性科学と教育哲学との架橋を試みた“Complexity Theory and The Philosophy of Education (2008)”を二章ほど読み進めた。 中でも、13章の “Complexity...


1118. 言葉を超えたその先
埴谷雄高著『死霊』が届いてからの私は、自分の心と向き合わざるをえなかった。書籍が届けられた時、分厚い封筒から中身を取り出すことをせず、私はソファの一角にこの書籍を置いた。 あえてその書籍を見ないようにするかのように、私は複雑性科学と教育哲学を架橋させることを試みた...


1109. 先人の固有性を感得すること
季節という一つの巨大なダイナミックシステムが非線形的な変化を遂げ、フローニンゲンの街にも新たな季節が突然やってきた。春を通り越して初夏を思わせるような日曜日であった。 早朝から終始一貫して晴天に恵まれ、書斎の窓から広がる景色は夏の様相を呈していた。季節が変わろうとも、仮に世...