354. 社会で奨励される諸々の活動とアイデンティティの喪失
一昨日、ふとした偶然によって、この五年ほど折を見て考え続けていた問題がようやく解決した。この問題は多くの人から見ると実にくだらないものだと思われるだろうが、私はやたらとこの問題に時折取り憑かれていたのだ。 文字で書き残すことに躊躇するほどくだらないと見なされるであろう問題で...
353. 研究内容をまとめながら
昨日は、9/7に控えているプログラム長のルートとの面談に備え、研究内容に関するPPT資料を作成していた。研究テーマやその内容をワードやパワーポイントにまとめることを特に要求されたわけではないのだが、PPT資料を見ながら説明した方が分かりやすいだろうと思い、昨日中に説明資料を...
328. 継続
昨夜はいつも通り十時前に就寝したが、いつもより睡眠時間が長く、七時に起床した。旅で得られたものを自分の内側で咀嚼するためには時間がかかると思っていた通り、その作業は睡眠中においても徐々に進行していることを感じる。 今朝のフローニンゲンの天候は、こちらに来てから一番の快晴であ...
289. 悠久の時の中で
——70歳以前に描いたものは全く取るに足らないものであった。73歳で鳥や獣、魚の骨格のなんたるかをいくらかは悟ることができた。このまま修行を続けていれば、100歳で神妙の域に達することができるだろう。110歳まで続けていれば、一点一画が生きているもののように描けるようになる...
264. 散逸構造と発達に必要な抵抗
複雑性科学に多大な貢献を残した化学者かつ物理学者でもあったイリヤ・プリゴジンは「散逸構造」という概念を提唱した。この概念を発達科学の観点から捉え直すと、発達現象に関してまた新しい洞察を付け加えてくれる。 人間の発達という文脈において、「散逸」とはどのような意味を持つのかとい...
263. 忘却と発達
気づきを得るというのは、ある対象を掴み取るということだけを表すのではなく、掴んだ対象から新しい何かを「開く」ことも意味しているのではないだろうか。ある対象に対して気づきを得ることによって、その対象に光が帯び、その光がまた別の対象を照らし出すという連続的なプロセスである。...
251.「構造的カップリング」と「相互浸透」
オランダへの出発がいよいよ一週間を切った。オランダ到着後に必要な各種手続き(例:住民登録や銀行開設など)の流れを確認している。 4年前にジョン・エフ・ケネディ大学でシステム理論に関するクラスを履修して以降、数年間はその分野から離れていたが、再びシステム理論の探究に着手してい...
240. ダイナミックシステム理論と多様な応用領域
抑えがたく高鳴る胸の鼓動を感じながら、深海の真っ暗闇に差し込む光を仰ぎ見ている心境である。こうした心境になっている自分を見るにつけ、渡欧の日が着実に迫ってきているのを実感する。 9月からのフローニンゲン大学では、複雑性科学と発達科学の双方をありとあらゆるエネルギーを注ぎ込ん...
238. 深化に寄り添って
ここ最近、自分を感化させてくれる書物にはどのような特徴があるのかを考えていた。すると、ある一つの共通する特徴が浮かび上がってきた。それは、書物の文章を仮に私の認識の刀で斬りつけた時に、その著者の血が滲み出るかどうかであった。...