1949. 精神病とは異なる感覚の中で
朝日がすっかりと天空に昇り、今は平穏な瀬戸内海の上に光を照らしている。朝の陽光は心を奪われる美しさを持っており、自分が光と海と一体化してしまいそうな感覚になる。 光り輝く穏やかな瀬戸内海を眺めていると、先ほど自分を襲った感覚について思い出した。私は、自分の人生という織物を編...
1937. 相互互恵的社会の中で
自己を知ることは、自己を含んで超えることであり、現象を知ることは、その現象を自己の内に含んで超えることである。そのようなことを思う。 今日の山口県は晴天であり、この一年間、三日連続で雨を見ない日はなかったように思う。この冬晴れの空を見て、私はどのような言葉を紡ぎ出したらいい...
1849. 日々は感謝:自己への一歩
フローニンゲン大学での二年目の二学期が始まってから三週間ほどが経つ。受講している講義の進行も自分の研究の進行も順調であり、そのおかげで、自らの関心に沿った別の探究にも時間を充てることができている。 学術的な探究で言えば、教育哲学、システム科学、ネットワーク科学などの専門書や...
1493.受け継ぎ、受け継がれるライフワーク
午前中の仕事が半ばに差し掛かった頃、書斎の窓の外から小鳥の鳴き声が聞こえ始めた。それは「ピヨピヨ」や「ちよちよ」という音として一旦認識されたが、そうした擬音語では表現できない何かを持っていた。 それが音の魅力である。今日は八月の最終日であり、明日からいよいよ九月が始まる。そ...
1348. 自著に触れた感動と最後の最後の日に向けて
今日は嬉しいことが続く。昼食前に編集者の方から増刷の連絡を受けたことに加え、ようやく『成人発達理論による能力の成長』の実物を手にすることができた。 実は、著者用の書籍は全て献本していたということと、日本からオランダにわざわざ書籍を送ってもらうことを控えていたため、出版から一...
1342. ウィルバーの新著と固有の霊性
午前中、少しばかり眠たかったので、仕事を中断し、寝室に向かい、しばらく仰向けになって休息することにした。 確かに昨夜は思考が興奮状態にあり、寝つきが悪かったのだろう。そのせいもあり、午前中に仮眠を取り、仕事の速度をいつもよりゆったりとしたものにすることにした。...
869. つぼみと存在の流転
とても静かなピアノ曲が書斎の中を流れていく。旋律に耳を傾けては、書斎の窓の外に広がる景色を眺めるということを意識的に行っていた。 気づかない間に、書斎の窓の外に見える木々につぼみのようなものが生まれていることを発見した。あの厳しい冬の時期、私は毎日、窓の外から見える枝だけの...
830. 無限の質量を持つ塊と永遠的な爆発の中で
自分の内側から湧き上がる何かを抑えることができないでいる。抑えようとするよりもむしろ、それをどのように外側の世界に現出させるかについて、私は自分でもまだよくわかっていない。 自分の内側で、はち切れんばかりの無限の質量を持つ塊が蠢いているのがわかるのだ。それは、兎にも角にも、...
699. 地上を仰ぎ見、働きかける者
意識の発達が自己を超越するような極めて高度な段階に達した時、私たちは地上の素晴らしさや残虐さのありのままの姿に眼を開かれるという。事物のありのままを見ることに関して、私は少々誤解をしていたことにはたと気づかされた。 いや、そもそも意識の発達プロセスの捉え方を誤解していたよう...
677. 触れられぬもの、そして楽しむことについて
夕日が沈むのを書斎の窓から確認し、夕方の探究活動も終わりを告げたことを知る。仕事の区切りのいいところを見計らって、浴槽に浸かった。 いつもこの時間は、心身を穏やかにし、くつろぎと充足感を私にもたらしてくれる。浴槽に浸かってしばらくすると、私はある概念についてだけ、未だ全く踏...