722. インタビューを受けて
今朝は五時半に起床し、履修コースの課題論文をいくつか読み進めていた。早朝に読み進めていたのは、人間発達に関する哲学的な論争に関するものである。 古典的な論点であるが、生得主義と経験主義に関する論争において、経験主義の研究者が抱きがちな、生得主義に対するいくつかの誤った批判を...
54. 新生得主義の誕生とその限界点
発達現象の可変性が認められるにつれて、発達理論のフィールドの中に新しい思想立場が生まれました。それは、「新生得主義」と言われるものです。新生得主義も発達構造を静的なものとみなすパラダイムの傘下に置かれているのですが、既存の段階モデルに代替する理論的枠組みとして一時期注目され...
44. プラトン→カント→チョムスキーへと受け継がれる静的構造主義の系譜
これまでの記事で、心の発達に関する生得論的アプローチと経験論的アプローチの議論について見てきました。デカルト的発想に縛られた両者のアプローチは、本来動的であるはずの心の構造を静的なものとみなしています。 丹念に文献調査をおこなってみると、両者のアプローチはデカルト以前、古代...
43. 初期経験論と新経験論
ジョン・ロックを始めとする初期経験論において、人間の心が持つシステム的要素や活動が心に及ぼす影響が強調されることはありませんでした。初期の経験論は、私たちの心は環境から受け取る感覚的経験によって形成されると考えていました。...
42.生得論と経験論の暗黙的融合
前回の記事で、生得論者と経験論者の争点とデカルト的二元論が既存の発達理論のパラダイムにもたらしてきた影響について述べました。発達に関する両極の議論は、この一世紀以上続いています。 両極に属する近年の発達論者の議論を俯瞰してみると、どちらも厳密の意味で生得論的主張でも経験論的...
41. 人間の発達に関するデカルト的二元論思想:先天性・後天性論争を超えて
発達理論の歴史を紐解くと、私たちの知識やスキルが生得的なものなのか後天的なものなのかという議論が盛んにおこなわれていました。こうした議論は、デカルト的な思考の枠組みに大きな影響を受けています。 実際のところ、生得論者の思想と経験論者の思想は、心とその他のものを切り離してしま...