2001. 福永武彦氏の小説作品
早朝の空と同じような色を持つ空が今この瞬間に広がっている。それはどこか寂しげな空であり、灰色の衣を身にまとっている。 今日は太陽が顔を覗かせることはなく、ただこの灰色の空が世界を独り占めにしているだけだった。今日は一回も外に出ていないから外の寒さはわからないが、どうもそれほ...
1993. 実感なき実感
昼食を食べながら、食卓の窓越しから外の景色を眺めていた。今日は曇りがちな一日であり、早朝には小雨がぱらついていた。 窓の外から景色を眺めていると、自分は一体日々何をしているのだろうか、という問いが現れた。この問いはとかく珍しいものではなく、頻繁に私のところに訪れる。...
1991. 福永武彦『草の花』より
昨日、何かに引き込まれるように、福永武彦氏の『草の花』という小説作品を読み進めていた。昨日の夕方から就寝にかけて読んでいたこともあって、気がつけば半分以上も読み進めている自分がいた。 以前の日記で書き留めていたように、私は小説というものを読むことができない。だが、福永氏のこ...
1989. 今日の読書から
昼食を摂り終えた後、書斎の窓から外の景色を眺めると、辺りが妙に静かな感じがした。午前中は太陽の光に恵まれていたが、今は太陽が薄い雲に隠れてしまっている。 街路樹に植えられた裸の木々が風に揺れている。今日は午前中に、“A guide to musical analysis...
1966. 福永武彦氏の文学と欧州での残りの生活
日本での滞在期間がもう残すところわずかとなった。二週間強の期間を日本で過ごしたが、本当にあっという間に時間が過ぎていったように感じる。 時の流れは非常に早く感じられたが、充実感に溢れる日々だったように思う。昨日ふと、欧州に戻ってからは、平日は学術研究に専心し、週末は福永武彦...
1963. 時間と発達:文学と音楽
時間はどこにあるのか?という問いを考える際に、今朝から読んでいる書籍の中に興味深い記述を見つけた。 それは、「時間とは運動や変化のうちにある」という記述である。時間とは、私たちの外側にあるものではなく、私自身の内的な運動や内的な変化の中に宿るものなのかもしれない。...
1959. 抱負から始まる豊富な日々
新年を迎えての二日目が始まった。気がつけば、日本に滞在する期間もあと少しとなっている。 日々が瀬戸内海の波のように静かに淡々と過ぎ去っていく。「淡々」という言葉に否定的な意味はない。 日々が瀬戸内海の海水のように透明でいて、内在的な深さを持って進行しているという意味である。...
1764. 異邦人から異星人になる日
今年の年末年始に日本に一時帰国しようと思う。その目的は実家でゆっくりと過ごすことと、実家に届いている40冊ほどの和書を持ち帰るためである。 寺田寅彦、永井荷風、川端康成、小林秀雄、福永武彦、吉田秀和の全集のそれぞれを何冊か購入し、それらをオランダに持ち帰る必要がある。...
1755. 時の流れぬ時の最果てで
本格的に寒い日が続き始めてから数日が経つ。冬の訪れを感じながら、私は今日なすべきことに絶えず従事していた。 午前中から昼食後にかけて、予定通りに明日の試験の準備を行っていた。今から少し時間間隔を空け、夕食前と夕食後に再び、作成したテキストの要約を確認し直したいと思う。...
1159. 80年続く内側の中心主題
午前中に計画していた論文を全て読み終えた私は、近所のスーパーに四日分の食料を購入しに自宅を出た。部屋のドアを開けてみると、夏を彷彿とされる熱気に包まれた。 その熱気は、螺旋階段の下から上に向けて上昇するような渦を持っているように思えた。自宅の中はあれほど涼しかったのに、部屋...