1387. 変化と知識の網の目について
早朝、イマヌエル・カントの“Critique of Pure Reason”を音読している時、一つの記述に立ち止まった。改めて考えてみると、一つの現象が変化するというのは実に不思議かつ奇妙なことのように思える。 変化というのは、前の状態と異なる状態に移行することを余儀なくさ...
244. 能力の選定と剪定
昨日は、市役所や税務署で各種手続きを行い、実家へ送る荷物の梱包が完了した。オランダへ送る荷物の梱包はこれからであるが、過去数年間において幾度となく引越しを繰り返してきたので、梱包も手馴れたものである。 元ハーバード大学教育大学院教授のカート・フィッシャーが指摘しているように...
138. 「統合心理学」としてのダイナミック・スキル理論
これまで紹介してきたように、新ピアジェ派の伝統はジェームズ・マーク・ボールドウィンから、ジャン・ピアジェ、ローレンス・コールバーグ、カート・フィッシャー、セオ・ドーソンに脈々と受け継がれてきました。この伝統は、人間の認知とは何か、それはどのように発達するのかを解明しようとす...
136. 絶えず乱高下する成長・発達プロセス
記事「134. ダイナミック・スキル理論誕生史:デカルト的認識論を超えて」では、カート・フィッシャーが提示した示唆深いメタファー「発達の網の目構造」について紹介しました。 今回の記事は、カート・フィッシャーのダイナミック・スキル理論に含まれる別の重要な考え方を紹介していきま...
134. ダイナミック・スキル理論誕生史:デカルト的認識論を超えて
それでは前回の記事で紹介した「デカルト的認識論の呪縛」を一歩先に進めて、今回の記事は、デカルト的認識論が支配的であった当時の発達思想(メタファー)を概説するとともに、デカルト的認識論を乗り越えたダイナミック・スキル理論が提唱した新たな発達思想(メタファー)を紹介します。...
117.「発達の網の目構造」:認知構造における個人差について
これまで複数の記事にまたがって、新ピアジェ派が具体的にどういった点において、古典的なピアジェ理論を拡張させたのかを紹介しました。今回の記事は、新ピアジェ派の最後の貢献事項、「認知構造における個人差」について簡単に説明したいと思います。...
60. 現代発達理論を呪縛する4つの誤謬思想
刻一刻と変動するリアリティの中で、私たちの活動は多様性と可変性に満ち溢れています。もしそうした人間の活動が、線形的な手法で測定されることがあれば、線形的な変化以外の何者も明らかにならないでしょう。 こうしたアプローチは長らく発達研究のフィールドに存在しており、それは人間の活...
37. 生得論と目的論を超えて:発達の青写真と発達の行く末
これまでの記事で明らかなように、人間の発達は、実に複雑で神秘的ですらある現象です。それでは、私たち人間の発達に終着点はあるのでしょうか? 目的論的な考え方を採用すると、発達現象には目的があり、私たちはどこかに向かって発達しているとみなすことができます。しかし、実際のところ、...
30. スキル向上過程に起こる興味深い現象:かりそめの発達と強固なスキル獲得への道
カート・フィッシャーがこれまでにおこなった研究の中で、一つとても興味深い研究があります。それは、学習・発達支援者の介入が、学習者のミクロな発達(秒、分、時間レベルの発達)にどのような影響を及ぼすかという研究です。 以前紹介したように、私たちのスキルの発達は向上と後退を繰り返...
20. スキルが持つ動的な一般化能力
以前の記事で、私たちのスキルは、具体的な文脈に根ざして発揮され、文脈と密接に関連した活動に従事することによって発達していくということを述べました。 このように、私たちのスキルはある特定の文脈に応じて発揮されるものなのですが、そうした特徴に加えて、私たちは特定のスキルをある文...