60. 現代発達理論を呪縛する4つの誤謬思想
刻一刻と変動するリアリティの中で、私たちの活動は多様性と可変性に満ち溢れています。もしそうした人間の活動が、線形的な手法で測定されることがあれば、線形的な変化以外の何者も明らかにならないでしょう。 こうしたアプローチは長らく発達研究のフィールドに存在しており、それは人間の活...
57. 認知構造と活動の分離:チョムスキー派とピアジェ派の思想の限界
生得論者と多くの認知科学者はこれまで、人間の深層部分に存在する能力と実際の活動を切り離す思想特性を持っていました。こうした分離を提唱した代表的人物は、ノーム・チョムスキーです。彼が主張する普遍文法は残念ながら、実際に私たちが言語を用いてコミュニケーションをしている際に現れる...
55. 新生得主義の研究:ピアジェが提唱した年齢基準の引き下げ
前回の記事で、新生得主義について簡単に紹介致しました。今回の記事は、もう少し詳細に新生得主義の研究内容や発達に対するアプローチなどを紹介していきたいと思います。 新生得主義者は、ピアジェ派が子供の発達プロセスを明らかにするために用いていたタスクをより簡素化し、調査プロセスの...
51. ピアジェおよびコールバーグの段階モデル:可変性の隠蔽
ピアジェを始めとして、ローレンス・コールバーグなど、段階モデルを提唱する発達理論家の多くは、発達が持つ可変性を無視する傾向にありました。これらの理論家は、基本的に発達が持つ可変性を測定の異常値や誤謬として扱っていたのです。...
50. 既存のパラダイムの死と新たなパラダイムの誕生
発達理論という一つの科学分野が経験してきた、パラダイムの転換に伴う苦難に目を向けてみると、パラダイムの変革が起こったというよりも、現在はその過渡期にあると述べた方が適切でかもしれません。 カート・フィッシャーが指摘するように、発達理論が果たすべき主要な役割は、人間の発達現象...
40. デカルト的認識論を超えて:既存の発達理論パラダイムの根幹にあるもの
発達理論の長い歴史において、これまでどうして多くの発達理論家は、心の動的な特性を認識することができなかったのでしょうか?実際には1980年代から、カート・フィッシャーやカーネギーメロン大学教授のロバート・シーグラーは、発達の可変性について研究を進めていましたが、それらの研究...
33. 発達の可変性を提唱する非英語圏の発達論者たち
これまでの記事で紹介してきたように、英語圏において、カート・フィッシャーやロビー・ケースなどが「新ピアジェ派」の代表格であり、彼らは発達の可変性を強調しています。実際のところ、フィッシャーやケースのような英語圏の発達論者のみならず、非英語圏の発達論者の中にも、発達の可変性を...
11. カート・フィッシャーのダイナミックスキル理論に関するこれまでの記事のまとめ
以前の記事で、心の発達が内包する可変性と不可変性を説明するために、心の構造を静的なものとみなすパラダイムに代わる理論的枠組みが必要であると述べました。今回は、これまでの記事をまとめ、ダイナミックスキル理論の具体的な説明に入る準備をしたいと思います。...
10. カート・フィッシャーが発達理論の領域に提唱した新たなメタファー「発達の網の目構造」とは?
しばしば、多くの発達理論において、人間の心が階段状に発達していくというモデルを見かけます。発達理論を取り入れているケン・ウィルバーのインテグラル理論においても、はしごを登るかのように発達が進んでいくという印象を与えがちな「ラインの発達(様々な発達領域の発達)」という概念が提...
8. 心の構造の動的な性質:既存の発達理論パラダイムを超えて
心の構造というのはそもそも何を指すのでしょうか?皆さんであればこの質問にどのように答えますか?また生涯に渡る心の発達を考える際に、どうして心の構造の性質を明らかにすることが重要になるのでしょうか?いったんここで立ち止まり、それらの問いを自分自身に投げかけてみてください。...