1434.【北欧旅行記】「妖精トロールの住む丘」に建つエドヴァルド・グリーグ博物館より
この世界に存在する表現物の中に、二種類の不要物がある。それは、客観性だけを追求するものと主観性だけを追求するものだ。 残念ながら、どちらの表現物も向き合うに値しない。前者の表現物の無価値さは、知識や概念というものが、本質的には主観性を追求した先に現れる普遍性を体現したもので...
1406. 波ではなく大海を
午後六時、書斎の窓から夕方の強い西日が差し込む。少しばかりカーテンを閉め、カーテンの右隅からわずかに見える外の景色を眺める。 通りに植えられた木々に西日が反射し、まるで木々が喜びの笑みを浮かべているように揺れている。そう思った瞬間に、観察されていた木々の喜びが、観察をしてい...
1306. 来年の米国での居住先と他力について
来年の今頃は、再渡米に向けての準備をしているかもしれない。そのようなことを思う。 私はもともと、フローニンゲン大学にやって来る前から、オランダでの生活は二年間になるだろうと予想していた。しかしその後、さらにもう一年オランダに留まりたいという思いが湧き上がっていた。...
1044. 自己を貫くテーマから始めること
この数日間ほど、少しばかりベートーヴェンのピアノソナタを離れている。その代わりに、今日は早朝から、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスのピアノ協奏曲を聴いていた。 とりわけ、ブラームスのピアノ協奏曲に対して息を呑む瞬間が度々訪れた。こうした体験を体験として片付けるのでは...
1029. 認識の深まりと「真理」が持つ意味について
今日は朝一番に、ドビュッシーのピアノ曲をかけ始めたのだが、一曲目の途中で、これでは仕事を始められないと思い、別の作曲家のピアノ曲をかけることにした。 ドビュッシーの曲は否定されるべきものではなく、その時間帯の私の感情と感覚に全く合致していなかったというだけの話である。結婚式...
974. 日記が持つ秘術と顕術
——あなたは日記をつけていますか?——ラルフ・ワルド・エマーソンからヘンリー・デイヴィッド・ソローへ 早朝から日記を書き続けている。昨日は、午前中の数時間を除き、残る時間は全て、自分が執筆した書籍の初校を読み続けていたのであるから、文章を書きたいという衝動が湧き上がるの...
890. 書くことの意味と真の仕事について
欧州での生活を始めてから、気づけば八ヶ月が過ぎた。オランダには合計で三年ほど滞在する予定であるため、まだ道の半分にも至っていない。 さらに、今後の自分の人生を考えた際に、欧州のどこかの国でしばらくの期間落ち着く可能性もなくはない。そのように考えると、私はまだたった八ヶ月しか...
833. 真の探究活動と無条件の愛
昨日は、研究論文を満足のいく形で執筆することができた。計画していた項目について執筆を終え、本日の夜に再度修正・加筆をしたところで、論文アドバイザーのサスキア・クネン先生に原稿を送りたい。 今日は、そのような修正・加筆をすることに留めたいと考えているため、新たなに項目を執筆す...
795. 唯一の望み
昨日は、時間を忘れてしまうほど、自分の研究に打ち込んでいた。時間が経つのがあっという間であったと思った時に初めて、時間というものが存在していたのだと知った。 非線形ダイナミクスの専門家であるラルフ・コックス教授との午前中のミーティングの後、プログラム言語のRを用いて、「交差...
792. 愛と死を通じた日々へ
起床直後、窓の外の世界に意識を向けてみると、小鳥の鳴き声が聞こえてきた。それはとても小さく優しい鳴き声である。同時に、意味深長な響きでもある。 一昨日のクネン先生とのミーティグの中で、もう少しで春が来そうだという話をしていた。その時にちょうど、早朝に聞こえてくる小鳥の鳴き声...