439. カート・レヴィンの理論より
発達心理学者のハインツ・ワーナーが指摘しているように、学習や発達の本質には「差異化」という現象がある。これは生物の進化のように、現在の特性がどんどん分化されていく形で私たちの学習や発達が進むことを示している。 先日、組織に関する研究で多大な功績を残した心理学者のカート・レヴ...
210. 読者の方から寄せられた質問事項(No.9)「構造はどのように生み出されるのか?」
東京は本日も雨ですね。皆さんのお住いの地域の天気はいかがでしょうか。 一日たりとも同じ雨の日はなく、一滴たりとも同じ雨滴がないというのは不思議ですよね。こうした不思議さに畏敬の念を覚えながら、是非とも今日の雨を「味雨」したいものです。 今回の記事は、拙書...
155. 認知レベルと情報量の関係
前回の記事で、認知レベルと次元の話を取り上げました。それに付随して、人間の認知レベル(思考次元)と扱える情報量には密接な関係があるという点も大事になります。 認知レベルの測定をしていると、興味深いことに、それまでの認知レベルでは使われなかったような言葉や語彙が出現します。例...
139. 知性発達理論の影と闇、そこからの救済
新ピアジェ派の功績は、発達プロセスを説明する優れた理論的枠組みを提唱しただけではなく、多様な発達プロセスに内包された複雑性を解析する測定手法を開発したことにあります。実際に、新ピアジェ派が提唱する発達科学は、既存の心理統計手法の領域を再構築し、測定手法の革新をもたらしたと言...
138. 「統合心理学」としてのダイナミック・スキル理論
これまで紹介してきたように、新ピアジェ派の伝統はジェームズ・マーク・ボールドウィンから、ジャン・ピアジェ、ローレンス・コールバーグ、カート・フィッシャー、セオ・ドーソンに脈々と受け継がれてきました。この伝統は、人間の認知とは何か、それはどのように発達するのかを解明しようとす...
130. 人間としての器の成長と実務能力の成長
ハーバード大学教育大学院に在籍する発達心理学者ロバート・キーガンとカート・フィッシャーはともにピアジェから影響を受けた構成主義的発達論者ですが、両者が研究対象とする領域は若干異なります。ケン・ウィルバーが “Integral Psychology...
119. 成人への教育・トレーニングに対する新ピアジェ派の理論の活用
これまでの記事で新ピアジェ派の根幹思想や様々な概念・理論を紹介してきました。仮に皆さんが成人へ教育・トレーニングを提供する立場にあるならば、どういった気づきや発見事項があったでしょうか?また、皆さんの実務の現場にそれらを活用させる方法に関して、どういったアイデアが得られたで...
118.新ピアジェ派の貢献:成人以降のより良い教育・トレーニングへ向けて
新ピアジェ派は、およそ30年間に渡り、ピアジェの根幹思想を受け継ぎながらも、修正が必要な概念や理論に関しては、実証研究に基づきながらピアジェの理論をより洗練化させてきました。 新ピアジェ派の各々の研究者は、それぞれ固有の思想やアプローチを持っているため、彼らはピアジェの貢献...
117.「発達の網の目構造」:認知構造における個人差について
これまで複数の記事にまたがって、新ピアジェ派が具体的にどういった点において、古典的なピアジェ理論を拡張させたのかを紹介しました。今回の記事は、新ピアジェ派の最後の貢献事項、「認知構造における個人差」について簡単に説明したいと思います。...
115.文脈や環境が発達に与える影響と他者による支援の役割
前回に引き続き、今回の記事も新ピアジェ派がどういった点において古典的なピアジェ理論を拡張させたのか、を紹介していきます。今回注目するのは、文脈や他者の支援が私たちの認知にもたらす影響についてです。 文脈や環境の持つ役割や影響力に対するピアジェの考え方は、あまり明示的ではなく...