1300. 淡々とした一日
ふと時計を見ると、夜の九時に近づいていることに気づいた。今日はいつも以上に、時間があっという間に過ぎ去っていったように思う。 それでいて、改めて今日という一日を振り返ってみなければ、自分が何をしていたのかを覚えていないような一日だった。今日も間違いなく自分の取り組むべきこと...
458. 実践知について
全ての仕事がひと段落し、再び「実践知」と呼ばれるものについて考えていた。ここでふと、先日久しぶりにやり取りをしていたオットー・ラスキー博士の研究を思い出していた。 ラスキーに師事をしていた頃、彼の認知的発達段階モデルは非常に難解ながらも、最も関心を引く研究テーマであった。特...
417. 虹と仕事
早朝起床すると、窓から見える景色は辺り一面闇に包まれていた。完全に太陽よりも先に活動を始めている自分がここにいる。季節は秋真っ只中である。今朝のフローニンゲンは、寒さに加えて、空一帯が分厚い雲に覆われていた。 そして、黒々とした雲から小雨が降り注いでいる。今朝もほぼいつも通...
150. 「真実構築活動」と「意味構築活動」を架橋する能力
私が直接的に師事をしていた発達心理学者のオットー・ラスキーの言葉が最近妙に思い出されます。ここ2年間は、セオ・ドーソンやカート・フィッシャーの理論モデルや測定手法に習熟するための期間であり、ラスキーの理論や測定手法から少し距離を置いていました。...
148. ロバート・キーガンの業績とマイケル・バサチーズの業績の統合
私が師事をしていたオットー・ラスキーは、ハーバード大学教育大学院時代にロバート・キーガンとマイケル・バサチーズに師事をしていました。私がラスキーの下で学習を進めていて気付いたのは、ラスキーはキーガンとバサチーズの両方の理論体系を統合させるような試みに長らく従事していたという...
143. 相対主義的思考を超えて
人類史を眺めてみると、いつの時代にも合理主義的な知性段階から相対主義的な知性段階に発達する人間が出現しています。特に、現代ではホリスティック思考などの相対主義的な思考法が注目を集めており、その勢力はますます拡大していると言えるでしょう。...
142. 形式論理思考の盲信とホリスティック思考への飢え
もし弁証法思考と同時に人間の知性発達に関心があれば、下記のような質問を投げかけるかもしれません。「知性発達理論はどのような思考を扱っているのだろうか?トートロジー的な論理思考なのだろうか、それともより高度な弁証法的な思考についてなのだろうか?」...
141. ラスキーが提唱する測定手法に対する批判的意見
ラスキー先生の下で受けたトレーニングの中で最も時間を要したのが弁証法思考に関する学習です。トレーニングの中で、ソクラテス、アリストテレス、ヘーゲル、サルトル、ロイ・バスカー、ハンナ・アレントなどの哲学思想を学ぶことが要求されており、さらにマイケル・バサチーズ、マイケル・コモ...
140. 「弁証法思考」に対する誤解:オットー・ラスキーが提唱する高度な思考形態
現在でも何かあるたびにやり取りをしているのですが、JFK大学院時代にお世話になっていたオットー・ラスキー先生が執筆した論文や書籍を少しずつ読み直しています。私はラスキーの測定手法から距離を置いているというのが現状ですが、人間の意識に関する彼の理論モデルから今でも多くのことを...