296. 叡智からの排斥
「学術的な叡智から自分は閉め出されている」ということを感じ始めたのは、ジョン・エフ・ケネディ大学での修士課程が終わり、ニューヨークで働き始めた時だった。当時の私はニューヨークに住みながら、隣接するマサチューセッツ州のレクティカでの仕事に従事していたのだ。...
208. 「なぜ成長・発達しないのか?」:圧倒的な鍛錬の欠落
——生きた、愛した、書いた——スタンダールの墓碑銘より 澄み渡る朝の静けさの中に小鳥のさえずりを聞いて目覚めた。起床後、すぐに窓を開け、その日の搾りたての空気とエネルギーを全身に注ぎ込む。 電車が無機質かつ暴力的な音を立てながら走り去った。静かな音楽を届けてくれている小鳥た...
205. 領域全般型発達測定の実用性
日本の企業社会を眺めてみると、組織における人財育成に真に有用なアセスメントがまだまだ導入されていない、という印象を受ける。 この要因について企業人の観点から考えると、アセスメントというのは「評価のためのものである」という意識が強く、「育成につなげるためのものである」という意...
202. 各人固有の成長プロセスに応じたテーラーメイドな成長支援の実現に向けて
これまで複数の記事にまたがって、私が在籍していたマサチューセッツ州のレクティカが創造したユニークな発達測定システム「LAS」について紹介してきた。認知的発達心理学の歴史における約一世紀に渡る研究成果をもとに、いかなる能力領域の発達を測定するための手法としてLASは生み出され...
198. アメリカの国家諜報機関で重宝されていた発達測定手法の質
記事195に関連して、若干細かな論点であるが、LASという発達測定システムを心理統計の観点から評価すると、どのようなことが言えるのかを簡単に紹介したい。結論から言うと、セオ・ドーソンやザッカリー・スタインによる長年の実証研究が示しているように、LASは測定者間の信頼性やアセ...
196. 知性・能力発達に関するカート・フィッシャーの五つの段階モデル
過去のいくかの記事を通じて、私が在籍していたマサチューセッツ州の発達測定専門機関レクティカの測定手法について紹介してきた。Lecticaのいかなる測定手法も「LAS」と呼ばれる評価システムを基盤にしていることをこれまでの記事で見てきた。...
195. レクティカ時代の回想:発達測定手法の開発プロセスについて
マサチューセッツ州にある人間発達に関する研究機関レクティカ時代のことを少し振り返ってみた。現在、日本の企業組織向けに構造的発達心理学に基づいた人財評価システムを開発している最中であるため、レクティカが新たな発達測定手法を開発する際にどんな開発プロセスであったかを思い出してみ...
161. あらゆる発達領域に通底する「普遍的な発達空間」の存在
「記事160.意識の特性と「サイコグラフ」について」では、人間の意識が持つ様々な特性と、多様な知性領域を描写する「サイコグラフ」について紹介しました。今回の記事は、意識の高度分析についてさらに踏み込んだ解説をしていきます。...
157. ダイナミック・スキル理論をもとにした発達測定手法LASとは?
世の中には知性発達理論に基づいた多様な測定手法が溢れています。例えば、スザンヌ・クック=グロイターのMAP(Mature Assessment for Professionals Profile)、ロバート・キーガンのSOI(Subject Object...
155. 認知レベルと情報量の関係
前回の記事で、認知レベルと次元の話を取り上げました。それに付随して、人間の認知レベル(思考次元)と扱える情報量には密接な関係があるという点も大事になります。 認知レベルの測定をしていると、興味深いことに、それまでの認知レベルでは使われなかったような言葉や語彙が出現します。例...