130. 人間としての器の成長と実務能力の成長
ハーバード大学教育大学院に在籍する発達心理学者ロバート・キーガンとカート・フィッシャーはともにピアジェから影響を受けた構成主義的発達論者ですが、両者が研究対象とする領域は若干異なります。ケン・ウィルバーが “Integral Psychology...
115.文脈や環境が発達に与える影響と他者による支援の役割
前回に引き続き、今回の記事も新ピアジェ派がどういった点において古典的なピアジェ理論を拡張させたのか、を紹介していきます。今回注目するのは、文脈や他者の支援が私たちの認知にもたらす影響についてです。 文脈や環境の持つ役割や影響力に対するピアジェの考え方は、あまり明示的ではなく...
114. 新ピアジェ派の貢献:後形式論理思考の特性
前回の記事は、新ピアジェ派が具体的にどのような点において、ピアジェの理論を発展させたのかを紹介しました。前回の記事で全てを網羅することができなかったので、今回の記事も引き続き、新ピアジェ派がどういった点において、ピアジェ派の理論を拡張させたのかを紹介したいと思います。...
112. 新ピアジェ派が継承する五つの発達思想
新ピアジェ派はこの25年間にわたって、古典的なピアジェ理論の本質的な側面を保持すること、さらに探求が必要な箇所を発展させること、最新の実証研究に基づいてピアジェ理論の改定をおこなうことに力を注いできました。 以前私のメンターであったセオ・ドーソンから聞いた話なのですが、カー...
111. 新ピアジェ派の誕生過程
発達心理学者ジャン・ピアジェの理論は、教育界で広く適用されています。時に、カリキュラム設計をおこなう際、あるいは実際の教室での活動に応用されています。生徒の学習や発達は、彼らが現在置かれている認知的発達段階に強く影響されるため、教師は生徒の思考特性や認知的発達に関して深い理...
110. 成人以降の教育・トレーニングにもたらす新ピアジェ派思想の意義
私がこれまで成人以降の発達理論に関する講演や講義をする中で、多くの方は最初、人間の心は成人以降にも発達していくという点に驚かれます。発達心理学の代表的な研究者であったジャン・ピアジェの理論は、日本においても広く知れ渡っていますが、その内容はどうしても成人までを対象とした心の...
88. カート・フィッシャーのスキルモデルとピアジェの段階モデル
今回の記事は、簡単にカート・フィッシャーのスキルモデルとピアジェの段階モデルを比較したいと思います。具体的には、科学分野の電磁石の理解度を題材とし、フィッシャーのスキルレベルとピアジェの段階レベルがどのように対応しているのかを説明したいと思います。...
87.ダイナミックシステム理論と発達論的システム理論との共通点・相違点
これまでの記事で紹介してきたように、ダイナミックシステム理論は、発達研究に新たな視点を提供し、ある種の革命を起こしたと言えます。ダイナミックシステム理論は、生涯をかけておこなわれる発達現象において、何が変化するのかを特定するというよりも、どのように発達が進められるのかという...
86. 自然発生的に獲得されることのない形式論理思考:構成主義的発達理論の功罪〜進化心理学の観点より
成人以降の心の発達について講義を行うたびに、世の中の成人の多くはどの発達段階にいて、その発達段階に留まっている要因は何かを頻繁に質問されます。カート・フィッシャーら、文脈依存型の発達モデルを提唱している理論家の議論を脇に置いて、発達心理学者のロバート・キーガンの発達モデルで...
82. モンテッソーリ教育の誕生背景と概観
今回の記事は、簡単にモンテッソーリ教育の誕生背景とその根幹思想について紹介したいと思います。モンテッソーリ教育と聞くと、日本では早期教育あるいは英才教育の一種として受け取られている印象があります。 例えば、アマゾンの創設者ジェフ・ベゾスやグーグルの創設者サーゲイ・ブリンとラ...