460. 自己を研究対象とすることについて
これまで発達研究で気になっていたことが一つある。それは、研究者が自分自身を研究対象するとする可能性についてだ。研究者が自分自身を研究対象とした場合、方法論上様々な問題を解決しないといけないと思うのだが、人間の発達プロセスとメカニズムを研究することに関して、これは一つ面白いア...
418. 変化の裸体
自分の存在がこのリアリティに充満している目には見えない非存在のものにぶつかり、衝撃のあまりにしばらく立ちすくむという体験の意味が少しずつ分かり始めてきた。この体験を一言で述べると、それは未来に生じる自分の変化をその場で先取りして経験することに他ならなかったのだ。...
396. 自己探求と社会実践について
今日から少しずつ、発達科学の歴史と複雑性科学の歴史を結びつけるような作業に取り掛かっている。より具体的には、作業範囲を少し狭めて、構造的発達心理学の文脈の中にシステム理論の進展過程を捉えるということを行っている。 この作業を開始しようと思った直接的な理由は、もちろんながら現...
330. 成熟の余地
欧州小旅行からオランダに戻ってきても、まだ不思議な感覚が自分の中で脈動しているのを感じる。咀嚼できていない無数の経験が自分の血肉となるための順番待ちをしているようなのだ。 この順番待ちの列はなかなか解消されず、列の最後尾あたりにいる経験が痺れを切らせて蠢いているような感覚な...
320. 欧州小旅行記:ニューシャテル自然史博物館と追想
ニューシャテル湖畔にある宿泊先のホテルから山道を登って辿り着いたデュレンマット美術館でゆっくりした後、午後からは再び山を下ってニューシャテルの街中に戻って行った。 山道を降りる道中、ニューシャテル湖の裏手に雄大な山々が広がっており、地理に疎い私は、それらの山々がアルプス山脈...
317. 欧州小旅行記:景観美を体現した街、スイスのニューシャテルへ向かって
本日のシュツットガルトは晴天であった。早朝八時前の肌寒い気温の中ホテルを出発してみると、昨日とは違った顔のシュツットガルトを見ることができた。 昨日の日中は、街中に観光客が溢れ、少しばかり落ち着かないような雰囲気を醸し出していたシュツットガルトの街も、早朝のこの時間であれば...
291. 閉ざされた感覚を解放して
欧州小旅行が明日に控えているが、通常とほとんど何も変わらない日々である。今回の小旅行では荷物を最低限にし、身軽に動けるようにリックサックとトートバックだけを持っていく。 ヘーゲル博物館のあるシュツットガルトでは、ヘーゲルの主著 “Phenomenology of Mind...
290. 欧州小旅行計画
今日は先ほど、久しぶりに天気雨に見舞われた。空は晴れているのに雨が降るというのは不思議だな、と思っていた幼少時代のある記憶が鮮明に蘇ってきた。この記憶を再想起したことはおそらく初めてだったので、オランダのこの予測のつかない天候に対してある意味感謝をした。...
275. 「リフォーム完了」と「環境適応」
(写真:リフォーム前の書斎。ほとんどの方はリフォーム前の方が小綺麗だと思われるであろうから、リフォーム後の写真は割愛) フローニンゲンでの生活の三日目が始まった。嵐のような二日間が過ぎ、ようやく平凡な日常に戻る。これが台風の目でないことを祈るばかりだ。...
218. 成長・発達に不可欠な権威的存在
先日、クライアントとのセッションの中で、一つ興味深い論点が浮上した。「父性」あるいは「力強さ」と呼ばれるものの大切さについて話題となった。 拙書『なぜ部下とうまくいかないのか:「自他変革」の発達心理学』を読んで誤解を与えてしまっていたのであれば申し訳ないのであるが、段階5を...