573. 孤島と連絡船:能力開発に対する視点
やはり今の自分は、特殊な環境の中に身を置き、特殊な活動に従事し続けていることに気づく。正直な感覚は、孤島の中での生活に近いと言えるだろうか。このような生活を望んでいた自分が存在していたことは間違いない。 また、このような環境に私を運んでくるような力が自己の背後にあったことも...
534. ミクロ・メソ・マクロな発達
昨日は、これまで執筆した文章を読み返し、編集作業を行っていた。気がつくと、過去に投稿した記事のうち、200近くの記事が未編集のままになっていたのだ。 昨日の夕方から、三ヶ月前の記事をいくつか読み返し、追加・修正を文章に加えていた。すると面白いことに気がついた。三ヶ月前のそれ...
513. 能力の乱開発
人間の知性や能力を多様な要素の相互作用で構成された複雑なシステムと見立てる、というのは、ダイナミックシステム理論をもとにした発想の根幹にあるものだと思う。こうした発想は、過去の発達科学の見立てとは趣が異なるため、ダイナミックシステムアプローチは、知性や能力の複雑な発達プロセ...
505. 知識体系と外国語
フローニンゲンの街は、すっかり冬らしくなった。夕方、書斎の窓から景色を眺めると、ほのかな光を放っている夕日が目に飛び込んできた。極めて淡いオレンジ色の光を放っている夕日を眺めていると、社会学者のタルコット・パーソンズが知識をスポットライトに見立てた比喩を提示していたことを思...
503. 来学期履修予定のコースと仕事の深まりについて
今学期の最終試験を昨日無事に終え、今日から次の学期が始まるまで後二週間ほどある。来学期は、私がフローニンゲン大学を選んだことを決定付けた「複雑性と人間発達」というコースが開講される。 このコースを担当するのは、私の論文アドバイザーであるサスキア・クネン教授と非線形ダイナミク...
483. 興味深き「フラクタル」
今日の午前中の仕事によって、ようやく研究データの翻訳作業が完了した。明日から少しずつ、この定性データに対してカート・フィッシャーのダイナミックスキル理論を適用することや、概念カテゴリーの分類を行っていきたいと思う。 翻訳した定性データをアドバイザーのクネン先生に送り、次回の...
481. 離近
今、書斎の窓から夕暮れのフローニンゲンの空を眺めている。空には雲が浮かんでいるのだが、それは流れずそこに留まっているように見える。赤いレンガ造りの家々と同じ色をした夕日が沈んでいく。 このように外の景色を眺めていると、外側の世界をゆっくりと味わうことが、内面世界に均衡を生み...
473. 発達的大変動
昨日は、一昨日の精神状態を受けてほとんど文章を書くことができなかった。言葉にできるものや言葉にすべきものが内側から湧き上がってこなかったのだ。自分の内面世界でこのようなことが起こり得るということを知れたのは新たな発見であった。...
460. 自己を研究対象とすることについて
これまで発達研究で気になっていたことが一つある。それは、研究者が自分自身を研究対象するとする可能性についてだ。研究者が自分自身を研究対象とした場合、方法論上様々な問題を解決しないといけないと思うのだが、人間の発達プロセスとメカニズムを研究することに関して、これは一つ面白いア...
444. 時空の交差と文脈
緯度の高いヨローッパ地域に特有の晴れの少ない冬に入りかけているのを感じている。そうした最中、朝一番の仕事を終えた後、ノーダープラントソン公園へランニングに出かけた。目を凝らして観察をしながら公園内を走っていると、前回のランニングとは違うわずかな変化を、公園内の自然から見て取...