106.認知・身体を駆動させる感情:ハイ・パフォーマンス組織における感情空間
これまで紹介してきたチリの組織心理学者マーシャル・ロサダの発見事項に関して、「そもそもなぜ、カオス的な発話パターンと組織のハイ・パフォーマンスが結びつくのか?」という疑問があると思います。この問いに対する答えは様々なものが考えられますが、大きな理由としては、私たち自身の脳や...
104. ダイナミックシステム理論によって浮かび上がるハイ・パフォーマンス組織の特徴
チリの組織心理学者、マーシャル・フランシスコ・ロサダは、ダイナミックシステム理論を企業組織の研究に活用している代表的な研究者です。特に、ダイナミックシステム理論を用いて、ハイ・パフォーマンス組織の特徴を浮かび上がらせた研究は大変興味深く、今回はその研究成果を紹介したいと思い...
87.ダイナミックシステム理論と発達論的システム理論との共通点・相違点
これまでの記事で紹介してきたように、ダイナミックシステム理論は、発達研究に新たな視点を提供し、ある種の革命を起こしたと言えます。ダイナミックシステム理論は、生涯をかけておこなわれる発達現象において、何が変化するのかを特定するというよりも、どのように発達が進められるのかという...
74. ダイナミックシステム理論の概観
人間の発達を学際的に考察するという試みのため、一連の記事のテーマが多方面に散逸していますが、ダイナミックシステム理論に関する質問を頂いたため、今回は再び、ダイナミックシステム理論の概観を眺めていきたいと思います。 まず、ダイナミックシステム理論は、非常に新しい学問領域であっ...
63. 突発的な発達を支える見えない機能
これまで様々な発達論者の研究内容について触れてきました。特に、ダイナミックシステム理論を人間の心の発達研究に適用している理論家を中心に、彼らの功績について紹介してきました。 今までの記事で言及してきませんでしたが、ユタ大学教授アラン・フォーゲルの研究成果を見逃すわけにはいき...
39. コネクショニズムとダイナミックシステム理論との共通点と相違点
人間の心の発達に関して、生得論や目的論よりも説得力があり、ダイナミックシステム理論と非常に類似した考え方を採用している思想として、コネクショニズムと呼ばれる立場が存在します。コネクショニズムは「結合主義」とも呼ばれ、名前から連想される通り、脳内の神経ネットワークの観点から人...
38. ピアジェの理論の再考:ピアジェの功績と超克すべき点
発達理論を語る際に、ピアジェが残した功績を忘れることはできません。確かにルソー、カント、ヘーゲルなど、ピアジェ以前の思想家も人間の発達について言及していましたが、心の発達が持つ構造的な特性を体系的に研究したのは、ピアジェが最初であると述べても過言ではありません(ピアジェより...
37. 生得論と目的論を超えて:発達の青写真と発達の行く末
これまでの記事で明らかなように、人間の発達は、実に複雑で神秘的ですらある現象です。それでは、私たち人間の発達に終着点はあるのでしょうか? 目的論的な考え方を採用すると、発達現象には目的があり、私たちはどこかに向かって発達しているとみなすことができます。しかし、実際のところ、...
34. スキルの跳躍現象とスキルの非連続性
ピアジェは、私たちの認知的発達は、質的に異なる発達段階を経るプロセスであることを提唱しました。ピアジェの発見事項を構造的な観点ではなく、機能的な観点で見てみると、私たちが日々発揮するスキルは、これまで獲得されたスキルから生み出され、発達していくとみなすことができます。...
32. ヴァン・ガートが指摘する発達可能性と発達支援のタイミング
極端な生得論者は、発達の可能性は生まれた時点で決められていると述べますが、ほとんどの発達論者は、心という動的なシステムとそのシステムが起動する外部環境との相互作用によって、私たちの心は発達していくと考えています。 オランダのフローニンゲン大学教授ヴァン・ガートは、発達は生得...