192. フローニンゲン大学での修錬:一年目のプログラム内容(その1)
前回、一年目のプログラムの概略について紹介したので、今回は前回積み残しになっていた6つの履修科目のうち2つを取り上げて、その内容について簡単に紹介したい。 1. タレントディベロップメントと創造性 この授業を受け持つのは、プログラム責任者であるルート・ハータイである。ハータ...
188. 三十路からの理転:フローニンゲン大学留学までの経緯
僥倖に恵まれる。私たちは時として、人智を遥かに超えたものからの働きかけによって人生の舵を切ることがあるのではないだろうか。 こうした働きかけに直面するとき、深く対象のない大きなものに対して、私はただただ拝むのみである。奉拝と敬拝。一介の人間として、それ以外にできることは他に...
166.記事157から165までのまとめ:測定手法と理論モデルの差異
それでは、ここで一旦これまでの記事「157-165(164を除く)」をまとめたいと思います。これまでのところ、「発達の高度」という概念を明瞭にするために、構造的発達理論の歴史において鍵を握る幾つかの概念を見てきました。 ケン・ウィルバーが提唱しているように、多種多様な知性領...
156. 認知レベルの発達とOSの進化
以前の記事「121.ダイナミックスキル理論における「スキル」に関する誤解」で、カート・フィッシャーが提唱するダイナミック・スキル理論における「スキル」とは、世間一般で言われているプレゼンテーションスキルや交渉スキルといった表面的なスキルではなく、それら表面的なスキルを発動さ...
139. 知性発達理論の影と闇、そこからの救済
新ピアジェ派の功績は、発達プロセスを説明する優れた理論的枠組みを提唱しただけではなく、多様な発達プロセスに内包された複雑性を解析する測定手法を開発したことにあります。実際に、新ピアジェ派が提唱する発達科学は、既存の心理統計手法の領域を再構築し、測定手法の革新をもたらしたと言...
131. カート・フィッシャーの「ダイナミック・スキル理論」の要約
これまでいくつかの記事で、ハーバード大学教育大学院教授カート・フィッシャー(Kurt Fischer)が提唱した発達理論「ダイナミック・スキル理論(Dynamic Skill Theory)」を取り上げてきました。この理論は、現在存在する意識発達・知性発達理論の中でも最重要...
128. 心理学界のアインシュタイン「カート・レヴィン」について
発達科学の領域に応用数学の一分野ダイナミック・システム理論が積極的に活用されていることを背景に、継続的にダイナミック・システム理論に関する専門書や論文に目を通しています。 こうした文献調査を続けているうちに、心理学の領域にダイナミック・システム的な発想を取り入れた人物はカー...
120. 発達理論の動向に対する雑感:静かに進行するフラットランド化
私はアメリカの思想家ケン・ウィルバーから多大な影響を受け、人間の意識の発達という領域に関心を持つに至ったわけですが、ウィルバーのインテグラル理論の枠組みを通して、現代の発達心理学の動きを俯瞰的に眺めてみると、「発達心理学が持つゾーン2の役割が洗練される一方、心の内面領域の探...
108. ロー・パフォーマンス組織で見られる思考の停滞現象とアトラクター:「クォークの父」マレー・ゲルマンの観点より
ここ数回の記事では、ハイ・パフォーマンス組織でおこなわれている会議の発話パターンの特徴について紹介しました。今回の記事は、それらの発見事項のまとめも兼ねて、その他の興味深い発見事項を紹介したいと思います。 私の知る限りでは、世界中を見渡してみても、ダイナミックシステム理論だ...
107. カオス的パターンと健康状態の興味深い関係性
皆さんは、カオス(混沌)という言葉にどのような印象を持つでしょうか?カオスという言葉は、どこか否定的なニュアンスを持っていると受け止められるかもしれません。今回の記事は、カオス的パターンと私たちの健康状態に関する興味深い関係について紹介したいと思います。...