223. 言葉の履歴書
——「名付ける」とは、存在を明澄の場(人間的空間)にもたらすことであった——辻邦生 今朝、毎朝焙煎している有機豆のコーヒーが全て無くなった。人は自らの余命に限りがあることを知った時、そこからの一瞬一瞬は全て新鮮なものとして目に映り、ありふれたものだとこれまで思っていたものた...
220. 生態系(ecosystem)としての知性発達
先日から数回にわたり、発達理論に造詣の深い知人の方と意見交換をさせていただいていた。ロバート・キーガンが提唱した構成的発達心理学(constructive developmental psychology)やピアジェ派や新ピアジェ派の構造的発達心理学(structural...
210. 読者の方から寄せられた質問事項(No.9)「構造はどのように生み出されるのか?」
東京は本日も雨ですね。皆さんのお住いの地域の天気はいかがでしょうか。 一日たりとも同じ雨の日はなく、一滴たりとも同じ雨滴がないというのは不思議ですよね。こうした不思議さに畏敬の念を覚えながら、是非とも今日の雨を「味雨」したいものです。 今回の記事は、拙書...
205. 領域全般型発達測定の実用性
日本の企業社会を眺めてみると、組織における人財育成に真に有用なアセスメントがまだまだ導入されていない、という印象を受ける。 この要因について企業人の観点から考えると、アセスメントというのは「評価のためのものである」という意識が強く、「育成につなげるためのものである」という意...
197. 顕現する美
——雑草とは何か?それは、その美点がまだ発見されていない植物である——ラルフ・ワルド・エマーソン 突き詰めればどの知性領域・実践領域も美に行き着くのだと思う。卓越性を追求し、深みを追求した先に開けるのは美の境地ではないだろうか。...
196. 知性・能力発達に関するカート・フィッシャーの五つの段階モデル
過去のいくかの記事を通じて、私が在籍していたマサチューセッツ州の発達測定専門機関レクティカの測定手法について紹介してきた。Lecticaのいかなる測定手法も「LAS」と呼ばれる評価システムを基盤にしていることをこれまでの記事で見てきた。...
195. レクティカ時代の回想:発達測定手法の開発プロセスについて
マサチューセッツ州にある人間発達に関する研究機関レクティカ時代のことを少し振り返ってみた。現在、日本の企業組織向けに構造的発達心理学に基づいた人財評価システムを開発している最中であるため、レクティカが新たな発達測定手法を開発する際にどんな開発プロセスであったかを思い出してみ...
167. 多様な知性領域の差異化方法:ウィルバー&ガードナー&フィッシャーの比較
記事「165.「領域全般型」の測定手法の誕生:マイケル・コモンズの階層的複雑性理論」 の続き それでは、LASを用いてどのように多様な知性領域を差異化していくかという点を見ていきましょう。ケン・ウィルバーは、多様な知性領域というものが「比較的独立して存在する」という主張をし...
166.記事157から165までのまとめ:測定手法と理論モデルの差異
それでは、ここで一旦これまでの記事「157-165(164を除く)」をまとめたいと思います。これまでのところ、「発達の高度」という概念を明瞭にするために、構造的発達理論の歴史において鍵を握る幾つかの概念を見てきました。 ケン・ウィルバーが提唱しているように、多種多様な知性領...
165.「領域全般型」の測定手法の誕生:マイケル・コモンズの階層的複雑性理論
「記事163. ローレンス・コールバーグからカート・フィッシャーへと受け継がれる思想:多様な知性領域に存在する領域全般型の特性」では、ローレンス・コールバーグからカート・フィッシャーに受け継がれた発達思想「領域全般型の発達特性」について紹介しました。...