82. モンテッソーリ教育の誕生背景と概観
今回の記事は、簡単にモンテッソーリ教育の誕生背景とその根幹思想について紹介したいと思います。モンテッソーリ教育と聞くと、日本では早期教育あるいは英才教育の一種として受け取られている印象があります。 例えば、アマゾンの創設者ジェフ・ベゾスやグーグルの創設者サーゲイ・ブリンとラ...
74. ダイナミックシステム理論の概観
人間の発達を学際的に考察するという試みのため、一連の記事のテーマが多方面に散逸していますが、ダイナミックシステム理論に関する質問を頂いたため、今回は再び、ダイナミックシステム理論の概観を眺めていきたいと思います。 まず、ダイナミックシステム理論は、非常に新しい学問領域であっ...
72. カート・フィッシャーの発達モデル:発達要因と発達のメカニズム
これまでフィッシャーの理論の大枠を紹介してきましたが、実際のところ、フィッシャーの発達モデルは、他の新ピアジェ派の理論と多くの点で異なります。主な相違点は、認知的な発達を説明する方法にあります。 もちろんフィッシャーは、発達における情報処理的側面を否定しているわけではありま...
71. 新ピアジェ派の発達思想:カート・フィッシャーの発達モデル「4つの階層4つのサイクル」
カート・フィッシャーの発達モデルは、以前紹介したロビー・ケースの発達モデルと非常に似ています。どういった点で似ているかというと、どちらもピアジェの発達モデルを参照して、主要な段階を4つに分類していることです(厳密に言えば、フィッシャーはより高次の階層についても言及しています...
68. 新ピアジェ派の思想:グレイム・ハルフォードの発達理論
これまで、新ピアジェ派の代表的人物であるパスカル・レオンとロビー・ケースの発達理論を概観してきました。今回の記事は、新ピアジェ派のその他の代表的研究者グレイム・ハルフォードの理論に焦点を当てたいと思います。 まず、グレイム・ハルフォードは、ロビー・ケースが提唱した作業記憶の...
65. 新ピアジェ派の3つの理論分類
前回の記事で、代表的な新ピアジェ派の研究者の名前を列挙しました。改めて紹介すると、パスカル・レオン、ロビー・ケース、グレイム・ハルフォード、カート・フィッシャー、アンドレアス・デメトリオの5人が新ピアジェ派の代表的人物です。5人の発達研究者の理論やアプローチの仕方は、それぞ...
64. 新ピアジェ派の誕生背景
ジャン・ピアジェは、認知的発達理論の分野に多大な貢献を残したことで知られています。しかし、そうした功績を讃える一方で、現代の発達理論家は、ピアジェの理論に対して批判を加えているのも事実です。 それらの批判の中で核となるのは、発達現象そのものの捉え方です。ピアジェは、人間の認...
61. 可変的な発達現象に潜む規則性を捉えるために
これまでの記事で一貫して、発達現象が持つ可変性を蔑ろにしている説明モデルを紹介しました。しかし、事態はより複雑であり、発達現象には可変的な側面もありながら、その可変性の中に精妙な規則性を発見することができます。 それでは、これからの発達理論や発達測定が、可変性を無視すること...
60. 現代発達理論を呪縛する4つの誤謬思想
刻一刻と変動するリアリティの中で、私たちの活動は多様性と可変性に満ち溢れています。もしそうした人間の活動が、線形的な手法で測定されることがあれば、線形的な変化以外の何者も明らかにならないでしょう。 こうしたアプローチは長らく発達研究のフィールドに存在しており、それは人間の活...
58. 構成主義的アプローチ:デカルト的発達思想・静的構造思想を超えて
身体的システム、心理的システム、社会・文化的なシステムなど、諸々のシステム間に存在する関係性の中で私たちは生きていると主張する構成主義的発達思想は、人間の発達に関して、デカルト的発達思想が見逃してしまった要素に着目することを出発点として誕生しました。...