149. 高度な認知レベルの体現者=無駄のない思考運動の体得者
現在、未読の書物を紐解くことと並行して、既読の書物や学術論文を読み返すことを行っています。改めて、再読の価値とは、初読当時の自分では気づかなかった重要事項を発見し、それを立ち止まって考えさせてくれることにあるなと思います。 カート・フィッシャーとチェン・ヤンが執筆した...
139. 知性発達理論の影と闇、そこからの救済
新ピアジェ派の功績は、発達プロセスを説明する優れた理論的枠組みを提唱しただけではなく、多様な発達プロセスに内包された複雑性を解析する測定手法を開発したことにあります。実際に、新ピアジェ派が提唱する発達科学は、既存の心理統計手法の領域を再構築し、測定手法の革新をもたらしたと言...
138. 「統合心理学」としてのダイナミック・スキル理論
これまで紹介してきたように、新ピアジェ派の伝統はジェームズ・マーク・ボールドウィンから、ジャン・ピアジェ、ローレンス・コールバーグ、カート・フィッシャー、セオ・ドーソンに脈々と受け継がれてきました。この伝統は、人間の認知とは何か、それはどのように発達するのかを解明しようとす...
137. 性格類型テストや360度評価の限界と新たな測定手法
ハーバード大学教育大学院教授カート・フィッシャーが提唱したダイナミック・スキル理論は、近年、教育現場や企業組織において広く活用され始めています。 カート・フィッシャーの共同研究者であったセオ・ドーソンとフィッシャーの弟子たちによって設立された、米国のレクティカという組織は、...
136. 絶えず乱高下する成長・発達プロセス
記事「134. ダイナミック・スキル理論誕生史:デカルト的認識論を超えて」では、カート・フィッシャーが提示した示唆深いメタファー「発達の網の目構造」について紹介しました。 今回の記事は、カート・フィッシャーのダイナミック・スキル理論に含まれる別の重要な考え方を紹介していきま...
135. 映画「バケモノの子」を鑑賞して:発達理論の観点より
「偉大な芸術は、あなたを、あなたの意志に反して、つかむ。そして、あなたの意志なるものを宙づりにする。あなたは、欲望、渇望、自我、自己収縮などから解放された、静かな深い森の中に開かれた小さなオープン・スペースに招き入れられる。この意識の中の静かなオープン・スペースを通して、高...
134. ダイナミック・スキル理論誕生史:デカルト的認識論を超えて
それでは前回の記事で紹介した「デカルト的認識論の呪縛」を一歩先に進めて、今回の記事は、デカルト的認識論が支配的であった当時の発達思想(メタファー)を概説するとともに、デカルト的認識論を乗り越えたダイナミック・スキル理論が提唱した新たな発達思想(メタファー)を紹介します。...
133.ダイナミック・スキル理論誕生史:パラダイムの波に晒されて
歴史を遡ると、人間の意識の発達理論は、100年以上も前に発達心理学の始祖と呼ばれるジェームズ・マーク・ボールドウィン(James Mark Baldwin 1861–1934)によって提唱されています。それほどの長い歴史があるにもかかわらず、これまでどうして発達研究は心の...
132. 「ダイナミック・スキル」の再定義
ハーバード大学教育大学院のカート・フィッシャーが提唱したダイナミック・スキル理論でいう「ダイナミック・スキル」とは一体何を意味するのでしょうか。「スキル」という言葉を聞くと、私たちは何か特定の「技術」のようなものをイメージしてしまうかもしれません。...
131. カート・フィッシャーの「ダイナミック・スキル理論」の要約
これまでいくつかの記事で、ハーバード大学教育大学院教授カート・フィッシャー(Kurt Fischer)が提唱した発達理論「ダイナミック・スキル理論(Dynamic Skill Theory)」を取り上げてきました。この理論は、現在存在する意識発達・知性発達理論の中でも最重要...