578. ポール・ヴァン・ギアートの背中を追いかけて
今日は、「複雑性と人間発達」の第三回目のクラスに参加した。今のところ、このクラスの前には必ず、友人の誰かとカフェテリアで一時間ほど話をしている。今日は、ドイツ人の友人であるヤニックと対話をしていた。 学部時代からフローニンゲン大学で学んでいるヤニックは、この街で生活を始めて...
574. 構成的感覚
早朝から昼にかけて、仕事が大変はかどった。米国のアマゾンに注文した専門書と異なるものが昨日届けられたため、午後一番に、それを返品するために近所の郵便局に出かけた。それにしても、オランダに到着してから、アマゾンを経由した注文に紛失などの手違いが多いことは残念である。...
475. 同志
今日は最後のオランダ語のクラスを途中で退席し、フローニンゲン大学とロッテルダム大学が共催の学術会議に参加した。この会議は、「人財の評価と選定」を専門とする研究者がお互いの研究成果を報告し、意見交換することを目的とされたものである。...
430. 物質的かつプロセス的な知識
秋の安定期に入ったかのようなフローニンゲンの日曜日の朝。窓の外で未だ青さを保つ木々が緩やかな風に揺れている。今日の空は朝から薄い雲に覆われている。あいにく今日は午後から雨が少し降るらしい。 今日は、まさに書斎にこもって仕事を進めるにふさわしい日になるだろう。今朝は連続した二...
345. ダイナミックシステム理論に関わる二つの派閥
今日は、デイヴィド・ウィザリントンの “The dynamic systems approach as metatheory for developmental psychology”という論文を読んでいた。これは実に秀逸な論文であり、ダイナミックシステム理論を発達研究にメ...
74. ダイナミックシステム理論の概観
人間の発達を学際的に考察するという試みのため、一連の記事のテーマが多方面に散逸していますが、ダイナミックシステム理論に関する質問を頂いたため、今回は再び、ダイナミックシステム理論の概観を眺めていきたいと思います。 まず、ダイナミックシステム理論は、非常に新しい学問領域であっ...
49. 発達理論のパラダイムシフト:発達理論の思想潮流
私自身の学習史を振り返ってみると、これまでは様々な発達理論家の理論や測定手法を学ぶことに主眼を置いていました。現在の関心は、もちろん発達理論のフィールドに存在する多種多様な理論や測定手法の理解を深めることにもありますが、それ以上に、より大きな視点を持って発達理論そのものを捉...
39. コネクショニズムとダイナミックシステム理論との共通点と相違点
人間の心の発達に関して、生得論や目的論よりも説得力があり、ダイナミックシステム理論と非常に類似した考え方を採用している思想として、コネクショニズムと呼ばれる立場が存在します。コネクショニズムは「結合主義」とも呼ばれ、名前から連想される通り、脳内の神経ネットワークの観点から人...
38. ピアジェの理論の再考:ピアジェの功績と超克すべき点
発達理論を語る際に、ピアジェが残した功績を忘れることはできません。確かにルソー、カント、ヘーゲルなど、ピアジェ以前の思想家も人間の発達について言及していましたが、心の発達が持つ構造的な特性を体系的に研究したのは、ピアジェが最初であると述べても過言ではありません(ピアジェより...
34. スキルの跳躍現象とスキルの非連続性
ピアジェは、私たちの認知的発達は、質的に異なる発達段階を経るプロセスであることを提唱しました。ピアジェの発見事項を構造的な観点ではなく、機能的な観点で見てみると、私たちが日々発揮するスキルは、これまで獲得されたスキルから生み出され、発達していくとみなすことができます。...